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「一橋桐子の犯罪日記(76)」 (原田ひ香)読みました

*ドラマ含めネタバレあり。
土曜ドラマの「一橋桐子の犯罪日記」終わったね。松坂慶子主演というのが、2話以降楽しく観られた大きな要因、って思います。ファンタジー感強めてた。1話では、高齢者の生活の切実な悩みとアパートのぼろさが衝撃的で、ちょっと引きましたが。
ドラマの最期の結末…主人公桐子が、亡き友の生まれ故郷の島を訪れやがて住むようになる…って、そんなお金ないんじゃあ…と、なかなか現実離れの展開です。
日本人は不安感が強いらしいし、その点桐子さんは超楽観的で、日本人らしからぬ性分ということで考えるとして…いろいろ無理矢理感はあるけれど、ま、いっか。ドラマはHAPPYENDな爽やか結末。原作本とはかなり違います。
原作本のラストは、切ない、ちょっと苦い読後感があります。
全体的なあらすじは同じだけれども…暮らしに困った高齢女性が刑務所に入るために犯罪者になろうと模索し、ムショ活を決行するという。
身寄りのない一人暮らしの高齢女性が、年金とパートでどうにか暮らしていて、貯金ほとんどなし…って、相当怖い。お金って諸々必要なのに、大丈夫?ってはらはら。食費だけでなく、生活必需品に公共料金、病気にもなるでしょうに…自分事で想像すると、気持ちが落ち着いてられなくなるほど。
明治生まれの祖母たちは戦争で苦労した世代であり、掛け金していなくても年金支給されていました。好景気だったからできてたこと、とわかってはいたけれど。でもまさか、今のような時代が来るとは想像していなかった。年金支給年齢が高まり、究極「(貧乏人…というかかなりの割合の人対象)死ぬまで働け!」時代が来るとは…。
原作本の中では、桐子が暮らすアパートの大家さんの描写が詳しく語られます。この、大家さんの存在が、今の高齢者苦難の時代における解決策のヒントになりそう。
大家さんは、高齢者の問題などを扱うフリーライター。古くて空き室が目立っていたアパートを、コンセプトを変えたらあっという間に満室になった。貧しい高齢者でも入れるようにし、民生委員や役所とかけあって、ここはそういう場所だと行政にもわかってもらっている。入居しているのは高齢者だけではありません…家賃が安いに越したことがない人は、世代を問わず相当数いるものだし。
お金と孤独じゃないことは高齢者というより、すべての人にとって命綱。互助でその命綱を太くすることが、とりあえず生きやすい社会にする現実的な対処法。自助はみんなやってるし、公助は…諦めたくないけどうーん、だから…ね。

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