映画「パーフェクト・ケア」観ました
首都圏でも上映館が少なく期間短く、気にはなりつつ見逃していた映画です。ジャック&ベティで上映し始めたので、観てきました。面白かった~これぞ娯楽。
悪VS悪。善人はひっとりも出てきません。それがいい。特に主人公がとことん悪、それも肝っ玉が据わった徹底的な悪者ぶり。宣伝文句の通り、誰一人共感できないのに、気持ちいいのです。
主人公のマーラは、法定後見人。裁判所が“施設収容が適当”と認めたお年寄りの面倒を見る…マーラは、裕福な老人の資産を処分し施設の入所費用にしていくのが仕事です。要介護の診断を行う医師や施設の経営者とグルになり、高齢者の資産を搾り取っている。まさに社会の敵。で、こちらも、マーラが憎たらしくて、そのうち悪事がばれて痛い目にあうぞあえばいい、って思って観ているわけです。
彼女たちが目をつけた、悠々自適の生活をしているジェニファー。身寄りがない資産家で絶好の餌食。で、嘘の診断書をもとに、ジェニファーを高齢者施設に押し込みます。
が、実は、天涯孤独と思い込んでいたジェニファーにはバックにマフィアがついていて…というお話。
最初はとにかくジェニファーおばあちゃんがかわいそうで、ジェニファー頑張れって応援しきり。が、そのうち、このおばあちゃん一筋縄ではいかないぞ、というのが見えてきて…。ジェニファーとマフィアの肩を持って見入っているのですが、なんでかいつのまにか、マーラの肩を持ってしまっている…不思議。
いや、けっして、マーラに好感を持つようになるわけではないのですよ。けれど…マーラは、相手がマフィアで自分の命も危ないというのに、ちっともひるまない。それに脱帽させられてしまう。好きになれないキャラなのに、その強さにいつのまにか引き付けられていく。敵役のマフィアのボスでさえも、マーラに一目置かずにはいられない。
マーラにしろそのパートナーのフランにしろ、過去を深堀して描かないのもいいなも思いました。ありがちじゃない?過去のトラウマがどうのっていう表現…勘弁してよと私はしらけてしまう。過去の扱いが重すぎるのは好きじゃない。その点すっきり。
とはいえ、過去の体験が自分の感覚を育てているという部分もあるのは確かで…親子の関係を巡る心情の違いというのが、マフィアVSマーラの会話に現れていた。軽く、ね。
マーラを演じるのは、「ゴーン・ガール」で、妻を演じたロザムンド・パイク。その配役を知っただけでも期待高まる。悪役がこんなにはまる女優さんっていないんじゃないか。
評判どおりの、クライム・サスペンス。えぐいと感じるシーンなく、楽しく観られました。