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映画「さがす」を観て感じたこと
映画「さがす」を川崎チネチッタで観てきました。面白かった~。けっこう観客多かった。こういうテイストの作品が大きな映画館で上映されるなんて…韓国映画の人気ぶりにおされて、というのもあるよね(理由は後述)。
宣伝の仕方うまいな。
映画宣伝は、ついこの間まで主流だった多くのTV番組に俳優や監督が顔を出すことより、Youtuberに試写会案内出すのがずっと効果的な時代だね。私も「おまけの夜」「シネマンション」「コンテンツ全部見見東大生=大島育宙」の各動画を観て、絶対観に行こうと思い立ったし。Youtuberは自分のチャンネルにプライドあるから、いくら試写に招待されても、ひどい映画だと紹介しないだろうという、安心感がある。
皆、敏感になっている…製作側の宣伝者としてなのか、それとも正直な感想なのか、を。
さて、「さがす」です。これからどうなっていくのかとストーリーがわくわく!犯人役の人…「おかえりモネ」のマモちゃん役…すごくいいね。実際にいそうですとっても。
映画館に片山監督のインタビュー記事が貼ってあったので、ざっと読みました。監督の前回作品では自閉症、今回はALS(ほかの病気も併発している)の人が主要な役で出てくる。監督自身の身近に障害を抱えている人がいたので、自然と登場させたってことらしい。
あらゆる傾向のドラマに障害者が普通に登場するのはいいこと。でも…たとえば映画「ザ・ファブル 殺さない殺し屋」の車椅子少女の扱い方残念だったな…描き方が薄くて…。物語に“色”を添えるための設定という感じがした。その点「さがす」は、“色”ではない。障害のあるなしに関係なく、“人間の苦悩”を描いていると感じました。
片山監督は、「パラサイト 半地下の家族」のポン・ジュノ監督の元助監督として有名で、この作品は韓国ノワールっぽいと評されているようです。
貧困をリアルに描く、というのは、日本映画に弱かった部分と思う。映画で陰鬱な世界は見たくないと思う人が多いだろうし。でもうんとエンタメになっていれば、どんな世界を描いていても観る人は喜び動員数が増える。韓国映画は、その見本となった。
私たちって、似たような環境…モラルや経済状況…の人に囲まれて生育していく。ある程度良識的な家庭だったり、お金にまあまあ不自由がなかったり。そういうアドバンテージのある者が、安心して創作活動ができて、文化を発信する中心になりやすい。
映画も本も制作サイドにいる人は、社会の“闇”に接点がなかった人がほとんど。観る側もそう。だけど、だからこそ、自分たちにわかる世界だけを描くのではなく、現実にたくさんあるのに直接触れることがない、“闇”を深く描いていってもらいたいと思う。