「らんたん」(柚木麻子)読みました…超オススメ!
2022年、今年読んだ中では…最高!痛快爽快な大河小説です。印象的な言葉がいくつもあって、心にメモしながら読み進めました。
読み終えた後、心に明かりが灯ります。ささやかな自分の生だって、この世を明るい方向へ導くらんたんのひとつになれる、って信じられるような。
主人公はスーパーウーマンで、自分とはかけ離れているのだけれど。人間の可能性の素晴らしさ、に胸打たれてしまう。
お話は、恵泉女学園の創始者河合道と、彼女を生涯支えた渡辺ゆりの人生。彼らをとりまく人々が豪華…新渡戸稲造、津田梅子、大山捨松、有島武郎、野口英世、平塚らいてう、市川房江、村岡花子、広岡浅子、徳富蘆花、伊藤野枝、柳原白蓮…聞き覚えのある名前が次々に出てきて、それだけで楽しい。
広岡浅子といえば、朝ドラで波留が演じていたため可憐なイメージがあるけど、ここでは、肝っ玉の女傑で頼もしいです。どーんとこい、って感じ。
白洋舎が日本で初めてドライクリーニングを始めた、というような雑学も随所にあり、知識欲も満たされます。
何より、道先生のキャラクターが、すてきすぎる。
道先生は、「光をシェアする」べきという信念を持っています。そして、そのためには、その人自身が、明るく楽しく生きていることが大事、ということも。
道先生たちが生きていた時代は、女性の参政権もなく厳しい男尊女卑社会だったのに、登場人物の女たちは、みんな、それはそれは溌剌している。よりよく生きてそれを社会に生かそうとしている。その、エネルギーが眩しい。
小学館のWEBきらら2021年3月号掲載の、著者インタビューに寄れば、“道先生について書きたいといったとき、一度も恋愛していないし面白くないんじゃないかという人がいた”らしい。
女は恋愛してこそ輝く、という偏見は、今もしぶとく存在する。誰得なのやら。
以前フェミニズムのドキュメンタリー映画を観たとき、ある女性が、フェミニズム運動に傾倒したきっかけについて、“だって男たちが、私をウブなお嬢ちゃんみたいに扱って、ばからしい”という主旨で語っていた。つまり、私は、男を知らない=恋愛してないモテないフェミニストじゃないのよ、と、主張しているのがありありで…なんだかなあ。そういうフェミニズム研究者他にもいるな、って思った。
そういうちっぽけなマウンティング、道先生には無縁なのです。
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