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デンマーク映画「奇跡」観ました

ミニシアターのジャック&ベティにて、「カール・テオドア・ドライヤー・セレクション」・4本の映画を上映中。「奇跡」を観てきました。
カール・テオドア・ドライヤーはデンマークの映画監督。「奇跡」はベネティア映画祭金獅子賞受賞、という作品説明に魅かれて鑑賞しました。制作は1954年、舞台設定は1925年。白黒映画です。
登場人物、基本的に嫌な奴はいないお話。ああやっぱりそうくるかって展開で、練るに練られたストーリーを観慣れた現代人からすると少し物足りない…これはあくまで洞察力不足の私見です。撮影方法も、現代からすると(当然だけど)陳腐に感じてしまったり。
でも…現代の映像表現は、こうした多くの作品の試行錯誤の上に成り立ってきたんだと思いながら観ると、とても感慨深いです。元演劇作品だったとかで、室内劇的場面が多いことに納得。アクションよりセリフ重視なのがよくわかる。
映像、特に映画ってほんと素晴らしいと感じるのは、20世紀前半のデンマーク田舎の地主の家の中がよくわかること。この家の間取りすごく好き!って思いました。
広いリビングを核にして、各部屋への扉がある。これ、シェアハウスなんかにいいんじゃないかな。自分の家にいる安心感って、人の気配かあって孤独じゃないことかと。一人で自分の部屋で過ごしていても、ドア向こうで何やら談笑してる(まあにこやかなときばかりではないだろうけど)っていいなと思う。
映画は、遠い異国の空気を運んでくる。そして、文化的違いはあっても、人の心や関係性には普遍のものがあって。誰もが愛を求め幸せになりたい。自分のことは受け入れてほしいくせに、人のことは寛容に受け入れることができないetc…。ああ…。
ところで…珈琲タイムすごく印象的でした。すてき。
豆を挽いてお菓子も必ず添えて。習慣化された心地よい作法かある。お客様に珈琲をすすめその準備をするときは、まずテーブルクロスをちゃんとひく。“北欧ではよく珈琲を飲む”ってきいていたけど、この時代にはもう、ただ飲むだけじゃなく潤いを生活に与える豊かな時間として、珈琲タイムが生活に根付いていたんだ…。
あくまで映画やドラマのイメージですが、昔の欧米の農家って、壁紙や家具などの調度品がかわいい。なんか洒落ている。庶民生活全般に息づいている、文化的資産の厚みを感じます。

映画は、隅々まで制作当時の人々の美意識がにじみ出ますね。面白いです。

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