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漂着したクジラを解体体験した話

なんやかんやで、中学と高校の生物教師をしているうらちゃんです。ICT関連のことにどっぷりつかっているので、一体何の教師をしているのかたまによく分かりません。

そんな私が、生物の道に足を踏み外した(?)話はこちらです。

今回は、ある時お声がけいただいた『漂着したクジラを解体体験した話』です。

注意事項として、途中ちょっとアレな画像があります。苦手な方は、遠い目でスクロールをしていただけると幸いです。


漂着したクジラの解体しませんか?

地元の自然史調査をされている団体の方から、ひょんな縁で、クジラの解体のお手伝いを体験させてもらうことになったのが、2018年11月の話です。

日本には年間でも相当数のイルカやクジラが座礁しています。

で、もちろん海に帰ることができれば一番ですがそのまま亡くなってしまうこともあるはずです。もしくは亡くなって海岸に漂着する場合も。

亡くなった場合はどうなるかというと、埋め立て or 海域への移動だそうです。

水産庁の鯨類座礁対処マニュアル

座礁した鯨体の処理には、①廃棄物処理法に基づく一般廃棄物として陸上での埋立又は焼却、②他海域への移動・排除の2通りが考えられるが、いずれの方法においても多くの制約が伴うため、市町村、都道府県の環境部局、関係省庁等に問い合わせ、協議して処分方法を決定しなければならない。ただし、焼却処分については相当の困難を伴うため、現実的な方法としては推奨できない。 また、生活環境、地形等の状況を考慮の上、座礁対処責任者は当該鯨体を放置することも可能である。

鯨類座礁対処マニュアル (平成24年度改訂版)水産庁

解体時に専門家の方に伺った話では、そのまま放置するのはあまりしないとのこと。

というのも、放置すると腐敗臭が大変になることと、クジラの脂肪(脂質)が溶け出し始めるとその漂着した海岸が脂まみれになって生態系的にも困りものだそうです。

なので、基本的には解体して焼却処分もしくは埋め立てをするとのこと。

博物館などで最終的に骨格標本などにしてもらえたら一番いいのですが、処分するとなると相当費用がかかるということ。

現場は切り立った断崖の下

海岸の様子

結構な斜面を下って行った先に目的の海岸がありました。というか、クジラが漂着してるのを発見したなというぐらい周りには何もありません。

つまり、埋め立てをするために重機を持ち込むなんてことは無理。

すべて手作業で解体するとのこと。
えー!

<<そろそろ、アレな写真が出始めます。苦手な方は、いいねを押してバックか、細目で遠くを見る感じでお願いします。>>


中央の白いのがクジラさんです

そろそろ、気づきましたか?

そうです。アイコンの画像(2024年3月時点)はこの場所なんです。

初クジラが漂着クジラとは思ってませんでした。

もうこの写真の時点で腐敗臭が尋常じゃなかったです。

冷蔵庫で腐らせたお肉なんて比じゃない臭いでした。

今のところ、人生No.1の臭さです。今でも臭いを思い出します。

いよいよ解体

ヒレの一部をナイフでギコギコ

大きいと波が当たらないところまで運べないので、小さく切って運ぶしかありません。

見た目はお肉ですが、臭いが尋常じゃないのでそれどころではありません。

ナイフでギコギコ切っていくのですが、次第に切れ味が落ちて切れなくなっていって大変でした。

交代でギコギコ

切っても切っても終わらず、結局このヒレ1つ分をバラシて運ぶのに、約2~3時間かかりました。

たぶん専門家の方たちがやれば、もっと速く終わったのかもしれないです。

既にきれいにされていたあごの骨

後日談

あまり役にたったとは言えなかったですが、生徒含め私もとても貴重な体験をさせていただきました。

こういった大変な作業を経て、博物館に骨格標本があると思うと、また違った見方ができるかなーと思いました。

で、帰り道中から大変でした。

まず、車内が全員のクジラの腐敗臭で大変なことに

後日、公用車を学校に返却するときも換気を十分にして、ファブリーズ一本使い切りました。

それから、体についた臭い

特に困ったのが、髪と鼻と爪でした。それぞれ1週間程、臭いが取れなかったです。

髪の毛の大変なところは、寝ているときに自分の髪の毛からほのかに香ってくるところ。

鼻はもちろん、ご飯の臭いがわからなかったのでしばらく食事は楽しくなかったです。

爪の隙間もなかなか取れず、手を顔にもっていくたびに香っていました(笑)

おそらく、あれから5年が経過しているので骨になってすでに掘り起こされた後だと思うのですが、今となっては埋めておきたい臭いの記憶です。

まとめ

専門家の方に貴重な体験をさせていただいたことに本当に感謝しています。
まだまだ知らないことが、その辺りにいっぱいいるんだろうなぁと思った次第です。

この生物教師の植物日記(たまに動物も)では、気の向くままに身近な生き物を調べてまとめたり、体験したことを綴っていきたいと思います。
ちょっとした、生き物の知識に繋がると嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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