【読書メモ】千葉からほとんど出ない引きこもりの俺が、一度も海外に行ったことがないままルーマニア語の小説家になった話
引きこもりの男が、引きこもりのままレベルアップして確変する、みたいな謎の教養小説的プロットのノンフィクション。
著者は千葉に住む30過ぎの映画ライター。大学時代に鬱、コロナ禍にはクローン病を煩い、現在も電車に乗ることも難しい。そんな著者が、ルーマニア映画に衝撃を受けたことをきっかけにルーマニア語を習得、そしてネットワークを獲得し、とうとうルーマニア文壇に躍り出るという謎ストーリー。
陽キャではないが、フットワークがめちゃめちゃ軽い。そしてルーマニア語への情熱がなぜか半端ない。そんな著者がルーマニア語習得のために取った手段がルーマニア・メタバース。Facebookで無造作にルーマニア人の友人を作りまくりNetflixもルーマニア語で鑑賞するという方法なんだけど、引きこもりの彼に取っては、身の回りの世界がルーマニアになっていく。
そんなフッ軽引きこもりが、次第にルーマニア映画監督やルーマニア人小説家とリアルに出会い、本人も文壇に躍り出る(がしかし、引きこもりのまま)。
この愛と狂気に満ちた男が謎手段で、自らの世界を広げて確変する様を(癖のある文体で)追体験できるノンフィクションというか新エンタメだった。
ちなみに著者の情熱にはめちゃめちゃ惹き込まれたが、ルーマニア語には1mmも興味が湧かなかった!