お風呂屋さんの猫になりたい。2
ラベンダー風呂の日
女3人でトラックを運転して
引っ越しをしたあの日から、
気づいたら1ヶ月経っていた。
初日からの3日間、
ガスと電気の契約を忘れていたけど
令和6年の時代に、
ガスも電気もなく生きていける事に
嬉しくもなった。
1人で暮らすのに慣れてきた頃、
職場で上司と意見が食い違い心にさらなる傷を
覆った日だった。
社会人8年目だから、慣れっこなはずだったが
自分が思っているよりダメージを食らった。
こういう日は、迷わず足がお風呂屋さんに向かう
お店の前に貼られた
「本日のお風呂はラベンダー風呂」
と書かれた。文字を見て
荒んだ心の私は、
「どうせ 入浴剤」と心で呟き。
靴箱に、履いてた靴を入れた。
脱衣所に気まぐれに現れる猫がいた。
サビ柄のみいちゃん
この街の人たちは、みいちゃんとかみいこちゃんとか自由に呼んでいた。
みいちゃんの頭を撫でると、
小さく にゃ と鳴いた。
浴場は、少し混んでた。
原色の紫になっていないお風呂に
疑問を持ちながら体を洗ってお風呂に浸かった。
澄んだお湯の中に
青みのあるラベンダーが薫るお風呂は新鮮だった。
端っこの方にラベンダーの花がぎっしり詰まった。袋が浮いていて、
先ほどの「どうせ入浴剤」と
決めつけた自分に反省をした。
上司にだってそうだ、きっと小さな決めつけが
あったから、食い違いが起こったんだろう。
私の意見も伝えつつ、明日もう一度話してみよう。
ゆっくり浸かった後は、
みいちゃんの隣で髪の毛を乾かして、
来た時とは別人格の私に仕上がった。
今日はゆっくり眠れそう。
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