24mmという画角
※ここでの焦点距離はレンズ名称を除きフルサイズ換算で表記しています。
iPhoneなどスマホの常用レンズとしてお馴染みの24mm。
ただ、古くから「50mmが標準、35mmが準広角、28mmが広角、それよりワイドは超広角」と言われてたように、24mmは扱いの難しい部類のレンズに入るように思う。
大口径の24mmF1.4ならボケ表現も使えるけど、そうでなければスマホで撮るのと大差なくなりがちで、暴れるパースや切り取り表現のにしにくさもあり、なかなかの玄人レンズ。
16-35mmや20-40mmといったズームレンズもあるため、単焦点の24mmレンズを使っているという人はそう多くないのかもしれないですね。
実際に作例やレビューを見ても、引き構図やスナップ写真が目立つ。でもそれなら広角ズームや28mm単焦点でいいのでは?となりがち。
個人的には21mmとも28mmとも異なる、24mmならではの面白さがあると思ってて、今回それを伝えられたらと思い記事にしました。
◾️4つのアプローチ
24mmに限らずですが、レンズを使う場合大きく4つのアプローチがあると思ってます。言葉では分かりづらいので、以前私が撮影した「兎影遊戯」という作品でお伝えできたら。
なお、カメラは富士フイルムX-Pro3、レンズはXF 16mm F2.8 R WRを使ってます。
◾️オーソドックス
まずは、いわゆる一般的に24mmっぽいと思われるアプローチ。
画角の広さを活かし、絵に広がりを持たせる撮り方。こういうシーンが撮れるのが広角系の1番(普通)の良さですよね。
組表現において起承転結があるとすると、起や転などで使われやすいかもしれませんね。状況の説明力、強いパースによる展開など。
◾️ステップイン
次は、いわゆる踏み込み。オーソドックスな撮り方で陥りがちな散漫な印象になるのを避けるため、主題に迫る、その上で広角による背景描写も行うアプローチ。
標準域で撮ると主題だけがクローズアップされ、背景情報が消え去るケースが多くなりますが、それだと都合が悪いシーンではこのステップインが有効。
◾️パース
上での踏み込みが主題の強調だとしたら、こちらは描写の特徴を強調した撮り方、つまり矛先の違いですね。
24mmのもつ周辺の歪みを積極的に入れ込み、作画に利用するアプローチ。
これは、28mmでは難しく24mm以降の超広角レンズで出しやすい効果。
21mmになるとさらにコントロールが難しくなるが、時空を歪めたような初期のマウリッツ・エッシャーの絵画のような力が出せる。
ちなみに、二枚目は水平を傾けることで、さらに歪みの強調している。
◾️サプレス
最後に、一番玄人的な使い方が"標準レンズ的に撮る"方法。
レンズ特性を理解し、あえてそれを打ち消すような撮り方(サプレス)をする4つ目のアプローチ。
以下の2つの写真は、35mm付近で撮影したようにも見えるかもしれませんが、24mmで撮影してます。
当たり前だけど、"実焦点距離的に撮る(=オーソドックス)"のが一番簡単なアプローチ。ただし、それはレンズに頼りきった撮り方とも言えます。
そこから一歩進んで、それを活かしたプラスアルファな撮り方(ステップイン・パース)、さらにレンズの特性を抑えた撮り方(サプレス)、こららができるようになれば、レンズ一本でいろいろな写真を取り分けることができると思う。
24mmという画角
以上、24mmという画角の扱い方を4つのアプローチに分けて説明してみました。
文章にすると少し難しく感じるかもしれないけど、要はレンズをしっかり理解し意識して扱う、写真が上手な人は誰でもやってる基本の話でした。
以上、24mmは結構撮る人が振り回されやすい画角ということで、今回記事にしてみました。
もし35mmや50mm付近のレンズを所有していて、もう少し作品の幅を広げたいという人は、ぜひ24mmという画角のレンズを一度試してみてください。
では、また。
『兎影遊戯』(抜粋)
model 七遊
camera FUJIFILM X-pro3 XF16mm f2.8 R WR