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夢遊病者
私は常に夢の中にいるのです。
近くに見えるあの東京タワーを、私は現実の眼で捉えています。
それでも、今の私には東京タワーを見たという実感が湧かないのです。
夢と現実は今、私の中で溶け合って混ざり合って一つのものに成ろうとしています。
現実感が失われていくのです。
そして私がこれを書いているうちに夢と現実はまた離れていきます。
これを完成させたときには、あの感覚はすでに失われていて何事も無かったかのように私は現実を生きるのでしょう。
あの現実が失われていく夢のような体験はそのときにしか味わえないもので、文字にしようにも誰かに話そうにも既に終わってしまった出来事なのです。
私は未だ現実にいます。
夢の中を望みながら。