3-4.ウェスト・東京
俺が冬の装いを好ましく感じる理由は、夏服が体の上に「乗せる」ことによって体を飾るのとは違い、体を「包む」ことによって一種の謙虚さが表れるからだ。
その日、ギャラリーの外に先に出てで待っていた俺のもとに出てきたミエコちゃんは、紺のウール地でできた変形のピーコートのような上着と、首にはベージュのマフラーを巻いていた。
西洋が数百年にわたって語ってきたコードにもとづいたその冬の装いは、彼女が理性的な文明人及び文化人である事をほのめかしていた。
「どこ行く?」と声をかけながらすぐに