インタビュー調査で大切にしているたった一つのこと
コンサルティングでは、様々な情報を扱います。
社員さんへのインタビューもその一つです。
インタビューの際に大切にしていることは、「相手にとって気づきがあること」です。1時間~2時間くらいお話を聴きます。せっかく時間を頂戴するのですから、インタビューの時間が有意義なものだったと感じてもらいたいのです。
氷山の海面下にあることを語ってもらう
ここでの気づきは氷山の下にあるものに目を向ける、とか、それを自分の言葉にしてみるといったイメージです。
上の図は、組織開発でよく使われる氷山モデルという考え方です。詳細は他に譲りますが、水面下にある部分に真の原因があることがほとんどです。
インタビューの最初は、仕事内容などを聴きます。これは、目に見える部分です。そして徐々に目に見えていない部分を聴いていきます。これは、聴いている私に見えないのではなく、本人やその組織の方々にとって見えていないものということです。
こちらからの質問に答えることを通じて、普段、あまり意識して考えていなかったことへの言語化が進みます。その結果、仕事の改善点に気づいたり、見直さないとならない人間関係の問題を整理できたりします。
インタビューがうまくいくと、コンサルである私にも組織の状況がよく分かり、本人も「すっきりした」という状態になります。
盲点に光をあてる「なぜ、いまだにそれが問題なのか」という問い
インタビューのそもそもの目的はというと、お客さま組織の問題解決です。したがって、インタビューが目指すところは、問題を発見することになります。
このとき大切なのは、本人たちにとって、盲点になってしまっている点に光を当てることです。なぜなら、解決するのは私たちではなくお客さまだからです。
光の当て方にもさまざまありますが、意識しているのは「なぜ、いまだにそれが問題なのか」ということです。
問題だと感じていながら何もしないということは、ほぼありません。何かしら手を打っています。少なくともなんとかしたいと思っています。
しかし、「なぜ、それが問題なのか」「どうして、その問題が起こるのか」と原因を探索するだけでは、盲点にはなかなか光があたりません。「なぜ、いまだにそれが問題なのか」と問うことで内省が進み、言語化が促され、気づきにつながります。
多くの場合、打ち手に問題があるのではなく、実行できていなかったり、徹底されてなかったりすることが真因になります。これまでのやり方に縛られて、思考停止になっていたり、組織の上下左右でコミュニケーションの行き違いがあったりして解決に至らないのです。
このあたりは、普段から問題だと感じていながら、言ってもしょうがないとモヤモヤしていることも多いのです。そのため、インタビューの機会で話せてよかった、すっきりした、という結果になるのです。
「永遠の課題」という思考停止ワード
インタビューを実施しているときは、あくまで語っていただくことを大切にしています。聴きながら仮説が頭に浮かびますが、まずは聴くことに徹します。大体10~15名ほどの方にインタビューをすることが多いです。それぞれの立場から、「見えない部分」について話していただくことで立体的に問題を捉えることができます。
インタビュー内容をとりまとめて、経営者や幹部に問題点をお伝えすると「いやあ、そこは、永遠の課題なんですよねえ」といったコメントが返ってくることもあります。これが、出てきたときには「永遠の課題で良いんですか?」と問いかけます。報告の場においても、相手にとって気づきがあるように意識しているのです。
私たちは痛いところを突かれると、誤魔化したくなるものです。その多くは、私にというより、自分に対して無意識に行われます。悪気はないけれど、臭いものについフタをしてしまうのです。
結局のところ、解決策そのもの以上に「それが問題である」と自ら発見することが大切なのです。なぜなら、そうした深い発見がない限り、実行されないからです。
私の役割は、相手が普段、光を当てないところを照らすことです。これは、コンサルタントだけでなく、リーダーにも求められることです。ミーティングや1on1の場面で参考にしていただければと思います。
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