⑮スパイラルガーデン ~アパートの庭エディブルガーデン化プロジェクト~
だいぶ間があいてしまって、リアルタイムの庭はもう大分わさわさしてきています。
今回はパーマカルチャーといえば!と言うぐらいアイコニック(象徴的)なスパイラルガーデンについて。
どのパーマカルチャーガーデンでも(パーマカルチャーと謳っていないエディブル・ガーデンでも)かなりの確率で作られているので、見たことがある方も多いのではないでしょうか。
大きな石をらせん状に積み上げて、隙間に土を入れることで渦巻状の畝ができる。
このロック・スパイラルガーデンの良い所はいろいろ。
石には熱を溜めておける「蓄熱性」という特性があるので、気温が下がってもある程度周りの温度を上げることができる
空間が立体的に有効活用できる
植える個所によって陽当たりに差ができるので、陽当たりが好きな植物も嫌いな植物も植えられる
高い箇所の方がより乾燥気味に、低い箇所の方が湿気が保たれやすくなるので植物の性質に合わせて配置できる
接縁(エッジ=性質の違う物質が接する場所)の距離が長くなり、ビルの10個目の原則(デイビッドの11個目)の「接縁効果」を活かせる
見た目が楽しくて見る人がワクワクする
ただ、2週間のがっつり合宿@千葉のパーマカルチャー・デザインコースで何度も強調して語られるのは、「アイテムから入ってはいけない」ということ。
スパイラルガーデンやキーホールガーデン、ヒューゲルカルチャー、スウェールなど、パーマカルチャーの手法として知られるモノ(アイテム)は数多くありますが、こういうのをとりあえず一つや二つ作っちゃえば「パーマカルチャーっぽい」場所に見えるようになったりします。
でもそうしてアイテム優位で作られるガーデンはパーマカルチャーの本質からズレていて、それっぽいのを作ったはいいが陽当たり、水の流れ、空間の有効利用、人や他の動植物の動線、管理のしやすさ...など重要な要素を満たさない非効率な空間になっては意味がない(半減)。
「多機能性 (Multifunctional Design)」というのがパーマカルチャー創始者のビルの原則の2つ目で、「アイテムを配置するときには、そこに配置する5つ以上の理由が欲しい」とも言われます。
かなり頭を使う必要があるのがパーマカルチャー的なデザインです。
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このガーデンを始めた当初は、大きい石を入手するのが難しいので、スパイラルガーデンの設置は考えていなかった。
でも前回、これまた予定していなかったヒューゲルカルチャーを実践することになって、一旦完成した風景を見ていると、作ってみようかという気になった。
通常のヒューゲルカルチャーの栽培床でも分解が進むと高さがかなり沈むのに、ここにあるのは材料が少ないなんちゃってヒューゲルカルチャーなので尚更。
この沈む分の高さを補えるよう、この上を立体的に使った上で栽培面積を増やしたくなったのもそう思った理由のひとつ。
この庭でとれた石たちを使って、形づくってみた。
ここに設置するメリットはこんな感じか...
材料が少なかったヒューゲルカルチャーが沈む分の高さを補える
小さい庭なので、立体的に空間を使えて栽培面積が増えるのはGood
配置的に、ガーデンの見た目はより楽しくなる
行き当たりばったりの思いつきでやりたくなったので、多機能性の観点ではもっと理由が欲しい微妙な感じ。
全体の幅も小さいし、この場所で手に入る石は大きくてもこぶし大の小ささ。
材料とスペースが充分にあったら、人の手が中心まで届くギリギリの大きさ(直径2mくらい)で、石は30cm前後のゴツゴツ・ゴロゴロしたのがたくさん使えたら、上で書いたスパイラルガーデンのメリットがわかりやすく活かせる。
それにスパイラルガーデンと言えばハーブ類が植えられることが多いけれど、手元にハーブの苗が無い。
ハーブガーデンを作るならキッチンの近くに作るのが定石(ハーブって料理していて急に欲しくなったりするけど、遠かったり雨が降ったりしていると必須の材料じゃないので結局使われなくなる)なので、庭で一番遠いココに作る意味は薄い...。
そしたらちょうど、別々のご近所さんが<空心菜の苗>とエディブルフラワーの<トレニア>の苗を譲ってくれた(神)ので、うちで育てていた小松菜の苗と一緒に定植!
こんな感じになりました。
その後、順調に育ってます。
先日、神戸の北にあるお宅で、直径2mの大きなのも作らせていただきました!
本当はレンガよりも天然石の方が蓄熱性も高く、もっと高さを出して立体的に組めればより効果的なものが作れますが、手元にあるリソース試行錯誤して気軽に作るのもやっぱり大事。
長野県小布施町の面白い町立図書館、まちとしょテラソで臼井健二さんと地域の人たちで作ったちゃんとしたスパイラルガーデンの写真も載せさせていただきます。
まずはお庭で小さいのから始めてみませんか?