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⑩自然遷移と緑肥 ~アパートの庭エディブルガーデン化プロジェクト~
これで畝と鉢の上には生き物で賑やかになるベースがある程度できたけど、それ以外のスペースはまだガチガチの土壌のまんまで生き物の気配が希薄。
ミッションは「ここでいくらかの野菜を育てること」ではなく、
「お金をかけずに気持ちよくて思わず出たくなるネイチャー・フレンドリーな庭(と暮らし)にする」
なので、ガチガチゾーンにも手を入れていきます!
でもその前に少し、「自然遷移」の話もさせてください。
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自然遷移とは
パーマカルチャーの原理原則の一つに「ある程度の温度と水分があれば、その空間は必ず森へ向かう」というのがあります。
裸地を放っておくとまずコケや地衣類が住み着き、彼らを足掛かりに種が芽を出して草原になり、やがて低木林、高木林、陰樹林へと変化していく。
こうして時間をかけて生態系が自然に遷移すること(そこにある生態系が変化して他の植物群落に置き換わること)を、「自然遷移」と呼びます。
このどこまでも変化が続くように思える自然遷移も、陰樹林(陰性高木林)の状態になると地面に太陽光が届かなくなるので生態系の多様性が増えず一定となり、植物群落の積極的な変化が止まります。
この最終形態を「極相林(Climax Forest)」とも呼びますが、日本の田舎を車で走っていてもよく鬱蒼とモコモコした山がたくさん見えますよね。
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人の手が入らない山でもその見た目から進まないのは極相の状態に達している森だからなんだと思います。
そこに人の手が入って間伐が行われたりすると、倒された木のスペースがあいて局所的に太陽光が地面に届くようになったり、風が通るようになったりして余白が生まれる。
これを「ギャップダイナミクス」と呼ぶんですが、人の手が入った方が山が元気になると言われるのはこういうことなんでしょうね(自然に木が朽ちたり落雷で折れたりしてもギャップダイナミクスは発生します)。
自然の完璧な合理性
ということは人工芝を剥がしたばかりのこのガチガチ粘土質な土も、放っておけば時間をかけて自然遷移が起こり、森に向かって土壌も豊かになるはず。
だけど人間の都合や感覚からするとその時間待っていては色々成り立たないことが多いので(少なくとも本案件ではそう)、ガチガチゾーンに手を入れていこう、となるわけです。
フラクタルや宇宙の神秘的な文脈で「自然は完璧」とよく言われますが、自然遷移=自然の摂理を理解してその波に乗り、更に加速することができれば、自然が持つ最強の合理性を発揮して畑も暮らしも作っていけるというのがパーマカルチャーの根本的な考え方のひとつだという理解でいますし、それがビルとデイビッドが考え出したパーマカルチャーの原理原則であるかどうかに関わらず、そもそも本能的に気持ちがいいし好き。
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なので、彼らの考え方とはこの部分で気が合うね、というノリで僕は昨年ギュッとパーマカルチャーを学ぼうと思ったのでした。
実際に手を入れていく
そこで、自分なりにガチガチゾーンの自然遷移を加速させて、生き物の力を借りるべくやろうと思ったのはこんなこと。
①土の表面と中に空気を入れるべく、スコップを入れて硬盤層を壊す
②緑肥の種を蒔く
③その上を刈り草で覆ってマルチングする
緑肥をネットで調べると「栽培した植物を土壌に漉き込んで肥料にすること、またその植物のこと」というふうに出てきますが、
それだけでなく例えばイネ科の植物を植えれば直根を深く伸ばして地面を割ってくれるし、マメ科の植物を植えれば横に広がる細かい根で土を柔らかくしたり窒素固定作用で豊かにしてくれます。
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イネ科がある程度伸びたら、順次10~20cmくらい残して刈って畝に撒けば枯れずにまた伸びてくるので、草マルチも自家生産できて一石二鳥。
これまた古くて発芽するか怪しいけれど、手持ちの「クリムゾンクローバー(マメ科)」「ホワイトクローバー(マメ科)」「オーチャードグラス(イネ科)」の種を蒔きまくることに。
まずはまんべんなく全体にスコップを入れ(掘り返さず、刺すイメージ)、
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緑肥の種をふり蒔いて、上から刈ってきた枯れ草を置いていく。
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地面が完全に見えなくなるぐらいにマルチングすると雑草と一緒に蒔いた好光性の種まで発芽しにくくなってしまうので、ほどほどに。
これでこの土が短期間でどこまで生命力を取り戻すのか...楽しみ。
たまたま手元に少しウッドチップもあった(パーマカルチャー関西のワークショップ中にもらっていたヒノキのチップ)ので、どうしようかと考えてウッドデッキの真ん前に敷き詰めてみた。
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これで、自分的にはまたグッと「気持ちいい庭(ド主観)」に近づいた気がする。
でも水やりをしたい範囲が増えれば増えるほど、今度は水道代を極力かけない大量の水の確保がしたくなる。
ということで次回は僕なりに「水の確保と高度プランニング」を考えてみましたので、お楽しみに!
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