身の回りをよく観察して素敵なスポットを探すと写真が楽しい
こんにちは、フリーランスフォトグラファーのまちゃるです。
ホームページの方には書かせていただいたのですが、このたび11月9日に昭文社ムック様より発売された「日本の海の絶景100」というムック本に写真提供をさせていただきました。
石川県内の能登半島の付け根あたりにある高松海岸の夕日とリフレクションの写真になります。
この本は日本の海に関する美しい風景に焦点をあてたものですので、よければまたご覧ください。全国の書店やコンビニで販売しているそうです。
今日はこの提供写真にも関連することなのですが、写真を撮るにあたって「身の回りを観察して素敵なスポットを見つけることの楽しさ」というお話です。
上の写真も同じ高松海岸で撮影したものです。
現地にこれまで行かれた方はご存知かもしれませんが、高松海岸は水平線がしっかりと見えるため、確かに夕日のスポットです。ただ写真のようなリフレクション(映り込み)が発生することは一部のカメラマンを除いてあまり知られていません。
おそらくこれから現地に行かれる方は、行ってみると「普通の海岸じゃん」と思われると思います。
確かに一見するとそのあたりの海岸と何ら見た目は変わりません。
しかしよく観察や考察をしてみると、この高松海岸が実にベストな位置・条件になっているかが分かります。
地図を見ていただくと、高松海岸は「車が走れる海岸」として世界的に有名な「なぎさドライブウェイ」のやや南にあることが分かります。
このなぎさドライブウェイは砂の粒子がかなり細かく、硬く締まっているため車で走行してもタイヤが埋まらず、車両の通行が許可されているという珍しい海岸道路になります。
そしてこの硬く締まった砂は水を薄い膜のように張ることができるため、なぎさドライブウェイ自体でもよくリフレクション現象が発生することが知られています。
一方でドライブウェイの南に位置する高松海岸もドライブウェイほどではないですが、砂の粒子が細かくリフレクションが時おり発生します(少し波が高く、砂浜のやや奥まで波が来る日がベスト)
しかも高松海岸が撮影に適している理由として「車が侵入しないこと」が挙げられます。基本的には近くの道の駅に車を停めて、歩いて海岸まで行くことになるので、なぎさドライブウェイよりも砂浜が荒れにくいということです。
ちなみになぎさドライブウェイは海岸道路として国土交通省の指定を受けているので波が荒い日は進入が禁止されることもあり、歩いて行ける高松海岸の方が撮影しやすかったりします。
このように高松海岸は一見すると何気ない普通の海岸ですが、①砂が細かくて水が鏡のようになり、リフレクションが発生しやすい②車が入りにくいので砂が荒れにくく、天気を選ばずに撮影ができる―という優れた撮影スポットです。
上の写真は小松市にある那谷寺の紅葉写真です。兼六園などと並ぶ「石川県3大紅葉スポット」として、多くの観光客が訪れます。
こちらは境内の真っ赤な紅葉や展望台から見渡せる俯瞰で眺められる紅葉が人気なのですが、展望台横にある楓月橋(上の写真)は知る人ぞ知る雨の日のベストスポットになります。
晴れの日は特別何でもない通路が雨の日になると水鏡のようになって、上空の紅葉が映り込むからです。
しかも雨の日は訪れる人の数も少なくなるので、ゆっくりと紅葉を楽しむにはかなりおススメの状況になります。
ただ大抵の観光客の方はこの紅葉リフレクションに気づかずに素通りをしていきます。雨で足元が滑りますし、早く屋根のあるところに避難したいというのもあるでしょう。地元のテレビ局さえも基本的には晴れの日にしか撮影しませんし、この写真を撮っている時もテレビ局クルーがいましたが、素通りでしたから・・・
こうしてみると、いつも目にしている場所やある1点で人気のある場所も見方や条件を変えると、また違った魅力があることに気づきます。
こういった特別な魅力に気付けるのもカメラマンの特権なのかもしれません。