
ジェラルドバトラーじゃなければ、最後まで追いかけられない【映画「CHASE/チェイス 猛追】
彼がいなければ成立しない作品はそもそも多いが、今作は彼がいても見ていられない時間も多かった。珍しく身近な設定の割には展開がイマイチでジェラルドバトラ―一本鎗の力技で成り立たせた印象。
あらすじとストーリー
『CHASE/チェイス 猛追』は、ジェラルド・バトラー主演のサスペンスアクション映画です。物語は、成功したビジネスマンのウィル(ジェラルド・バトラー)が妻リサ(ジェイミー・アレクサンダー)を実家に送る途中、立ち寄ったガソリンスタンドで突如妻が姿を消してしまうところから始まります。
妻の失踪を直感的に誘拐だと感じたウィルは警察に助けを求めますが、その粗暴な態度から逆に彼自身が疑われる事態に。しかし、防犯カメラ映像にリサに接触する謎の男を発見したウィルは、警察の捜査を待てず、単身で犯人たちを追跡するというスリリングな展開を迎えます
作品の魅力
この作品の魅力は、スピード感あふれる展開と、ジェラルド・バトラーによる迫真の演技にあります。家族を守るためなら手段を選ばない主人公が描かれることで、観客はその緊迫感に引き込まれます。また、犯罪組織との命がけの追跡劇は、シンプルながらも手に汗握るアクションが満載です。
さらに、監督のブライアン・グッドマンによる演出が、ストーリーをより引き立てています。撮影や音楽のクオリティも高く、90分というコンパクトな尺の中に濃密なドラマとアクションが詰まっています
感想
今作のジェラルドバトラーの役はかなり荒っぽい。ある事情で妻を実家に送り届けようとするが、給油途中のガソリンスタンドで妻が行方不明になり話が進んでいく。
ミッドライフクライシスの渦中にいたそれまでの夫婦の話を織り交ぜながら、妻を攫った犯人を手掛かりがないまま力業で猛追していくという構成。
警察も荒っぽい彼に疑いをかけて動かないため結局バトラー1人で手がかりを探し追いかけていくしかなくなる。
ミッドライフクライシスの話も正直ミスリードの役割を果たしていなくて必要性がよくわからなかったが、車屋のガレージまで自らで特定し追いかけていく所までは判断力も見せられるサスペンスとして面白かった。
その後は仲間とみられる男に力づくで吐かせて捜索方法も更に荒くなる。この辺りからバトラーらしい繊細さは見えず、結末に繋がる「成功したビジネスマン」のバックボーンもあまり説得力なかった。
終盤でようやく追い詰めていくがここまでの過程の話もバトラーの捜索からどんどん離れた話になるので間延び感ある。あまり予算も感じなかったしキュッとしたら1時間で終わる話だったから仕方ないのだが。
最後の白昼堂々の市民離れした銃撃や最後のとどめになる終わり方は流石だった。後者の方は少々無理があって笑ってしまったが彼の作品には欠かせない要素だったか。
サスペンスとしては序盤から謎要素を匂わせるのは上手かっただけに、オチは案外普通だったのはストーリーとして拍子抜けする。ジェラルドバトラーじゃなければ最後まで見ていられなかったかな。