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黒幕も可哀想になるオールスター集結作。ヴェンデッダの伏線から、続編の可能性も考察【映画「バイオハザード デスアイランド」】

映画「バイオハザード デスアイランド」とは?

「バイオハザード デスアイランド」は、2023年7月7日に公開されたフルCGアニメーション映画です。人気ゲーム「バイオハザード」シリーズを原作とし、その世界観とキャラクターを継承しています。

あらすじ・ストーリー

物語は、アメリカ西海岸の都市サンフランシスコで起こるゾンビ発生事件から始まります。かつてラクーンシティで起こったバイオハザードを彷彿とさせるこの事件の原因を突き止めるため、対バイオテロ組織BSAAに所属するクリス・レッドフィールドは、仲間のジル・バレンタイン、そしてテラセービング代表のクレア・レッドフィールドと合流し、捜査を開始します。

一方、アメリカ政府のエージェントであるレオン・S・ケネディは、謎の男に捕らえられたアントニオ・テイラー博士の救出ミッションに挑みます。そして、クリスたちとレオンは、事件の鍵となる場所がアルカトラズ島であることを突き止めます。

アルカトラズ島では、想像を絶する新たな脅威が待ち受けていました。かつてないスケールで描かれるバイオハザードとの戦い、そしてシリーズの垣根を超えたキャラクターたちの共闘が、本作の見どころです。

映画「バイオハザード」CGアニメ版シリーズの順番

映画「バイオハザード」シリーズは、実写版とCGアニメ版の2つに大きく分けられます。

  1. バイオハザード ディジェネレーション (2008年)

  2. バイオハザード ダムネーション (2012年)

  3. バイオハザード ヴェンデッタ (2017年)

  4. バイオハザード デスアイランド (2023年)

「バイオハザード デスアイランド」は、「バイオハザード7 」(2017年)と「バイオハザード ヴィレッジ」(2021年)の間に位置する物語です。


アンブレラ社の状態

アンブレラ社は、ラクーンシティでのバイオハザード事件後(1998年)に崩壊しました。しかし、今作までのシリーズではその残党や技術は世界中に拡散し、新たなバイオテロの脅威を生み出しています。


前作「ヴェンデッタ」からの伏線

前作「ヴェンデッタ」に登場したグレン・アリアスは、本作にも登場し、物語の重要な鍵を握っています。

  • グレン・アリアス:前作ヴェンデッタの黒幕であり、バイオテロリスト。元軍人であり現在は国際指名手配犯の武器商人だったが、結婚式中のある事件をきっかけにバイオテロを目論む。

  • ディエゴ・ゴメス:アリアスの旧友であり、元特殊部隊員。アリアスと共に、結婚式の事件から生き残りバイオテロを計画していました。

  • マリア・ゴメス:本作の悪役であり、ディエゴの娘。レオンによって殺された父ディエゴの復讐を果たすため、今作の黒幕にも協力しています。


本作クリスが回想する、ピアーズ・ニヴァンスとは?

ピアーズ・ニヴァンスは、ゲーム「バイオハザード6」に登場するBSAA北米支部の隊員です。クリスの相棒として活躍しましたが、作中で命を落としました。本作では、クリスの回想シーンに登場し、彼の過去と葛藤が描かれます。

舞台となるアルカトラズ島は実在する

アルカトラズ島は、アメリカ・カリフォルニア州サンフランシスコ湾に浮かぶ島です。かつては連邦刑務所として使用されていましたが、現在は観光地として一般公開されています。本作では、物語の舞台として登場し、バイオテロの脅威に晒されます。

黒幕ディランブレイクの動機の現代性

  • 既得権益への反発:

    • アンブレラ社のような巨大企業や、それを擁護する政府など、既得権益層に対する強い憎悪を抱いています。これは、現代社会における格差拡大や、一部の権力者による不正行為に対する不満と共鳴するものです。

    • 社会システムから疎外されたと感じる人々の怒りを代弁しているとも言えるでしょう。

  • 社会システムへの破壊衝動:

    • 自身の復讐を果たすだけでなく、社会全体を混乱に陥れることを目論んでいます。これは、現代社会におけるテロリズムや、破壊的な思想を持つ人物像と重なる部分があります。

    • 昨今ではSNSなどで不特定多数の人間に不満を煽ることで共感性を得て信奉者を増やし、テロ行為に走らせるような人物も現実世界で確認されています。

残された伏線から今後の続編の考察

本作で解決された問題もあるが、新たな伏線も残されている。

  • マリア・ゴメスのその後:彼女が本作で完全に排除されたのかは不明。

  • アンブレラの技術流出:依然としてバイオ兵器が流通しており、新たな組織の登場もあり得る。

  • ジル・バレンタインの未来:長年の影響でPTSDを抱えていた彼女が復帰したが、その後の活躍も期待される。

続編が制作されるとすれば、新たなバイオテロの勃発や、かつての敵組織の復活などが描かれる可能性が高い。


「バイオハザード デスアイランド」は、シリーズのファンはもちろん、アクション映画好きにもおすすめの作品です。過去の作品との繋がりや、キャラクターたちの成長など、見どころ満載です。

感想

前作ヴェンデッダから続くディエゴの娘の復讐と、ラクーンシティ事件の裏で傭兵として動いていたある男が協力し再びバイオテロとして目論まれる話。

CGアニメ版では相変わらずアンブレラ社の残党が暗躍しているのが分かるし、ラクーンシティ事件をきっかけに多様なところから恨みのスパイラルは尽きていない。

今作はウェスカーの支配から眠っていたジルも合流することで、主人公オールスター祭り映画となる。

ゲームファンは異作だった彼らの絡みや過去の回想で満たされるようになってるし、新規が見ても何も考えずとも純粋に楽しめるのは流石だった。

黒幕である今作のヴィランは個人の恨みから既得権益への破壊を目論んだだけのバイオテロの動機だったが、新人類を作りその先の新世界までを目論んでいたウェスカーと比べるとどんどん個人感情レベルだけの話になってきて哀しい。

ただ現代の情勢などで見ればあのように孤独化した人ほど、何も救済しない社会システムを恨んで既存世界の破壊で全能感を得るという悪役像が一番リアルでもある。

バイオハザードシリーズの悪役としては目的が弱かったが現代に改めて描いている意味は伝わる話だった。

CGアニメ版は質の高いアトラクションみたいな感覚で見れているので続編あろうがなかろうがどちらでもいいのだが、続くなら数少ないCGリメイクのお手本で今後もあってほしい。

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