マイコン博物館の展示物たち その15 - 懐かしの「石」たち
マイコンという単語の由来は諸説ありますが、おそらく正式には「マイクロコンピュータ」を短くしたものです。「マイクロ」以前には当然「ミニ」があって、1枚の基板の上に作られた半導体チップで構成されたCPUの時代が「ミニコン」と呼ばれました。これが「マイクロ」の時代になると1つのチップでCPUが入るようになり、1枚の基板の上に「コンピュータ」全体が載るようにもなりました(ここで出てくる「1」は例外もあります)。
こういう半導体チップの事を「界隈」では「石」と呼ぶこともあります。どうして石なのかは半導体よりも前の時代に使われていた真空管が「球」と呼ばれていたので、トランジスタは「石」だよねということで呼ばれ始めたようです。集積度が上がっても所詮トランジスタの塊には過ぎないので今でもチップを「石」と呼んでもおかしくはありません。
半導体は「石」だったの!?
ということで、マイコン博物館には「石」も展示されています。初期のCPUから最近のものまでいろいろあるのですが、まず事実上、最初のマイコンチップである"8080"からです。
昔はセカンドソースと言って開発したメーカー以外もライセンスを取得して、それぞれから同じ(ような)仕様のCPUを出していました。見た目でもパッケージがセラミックだったりプラだったりの違いもあるのですが、NECはちょっとだけ命令を弄ったりしてしました。
まあクロック数であったり細かな電気的仕様に違いもあったりしたのですが、大抵の場合は同じソケットに挿して使えたので、好きなメーカーのチップを買ってきて使えばよかった時代です。8080の上位互換性を持つZ-80は、実に多くのマイコンに使われました。
いろいろなZ-80があったのですが、よく聞くのは無印は2MHzクロックで、Aが付くと4M、Bが付くと6MHzでだんだん速くなりました。途中からCMOS版が出たり周辺機器も組み込んだものであるとか実に多くの種類がありました。
「石」にはCPUだけでなく周辺コントローラであったりメモリなどもあります。自分でマイコンボードを作っていた時代によくお世話になったのがROMで、ファームというかモニタというか必要最低限の基本プログラムやBASICインタプリタを焼き込んで使っていました。当然バグがあったりバージョンアップをするので、紫外線をあてて内容が消去でき何度でも使えるEPROMが好まれました。
2708 8 Kbit UVEPROM
こんな「石」たちを見てアレコレ懐かしく語れるのは、もう還暦を過ぎたオジさん達ばかりかもしれません(私もそのひとり)。何度も挿したり抜いていると足が曲がってしまったり、朦朧としたままチップをソケットに挿し込んで電源をいれると窓の部分からオレンジ色の光を発して逝ってしまうという経験(逆刺し)も一度や二度ではありません^^;。
まあ最近でも自分で組み立てるのであればマザボとCPUを買ってきて、ソケットに差し込む(置く?)という儀式は健在ですが、ピンを折ったらどうしようというドキドキがまだあるのはいい加減にしてほしいです。
今と比べるとクロックが高々数MHzという3桁もゆっくりと動いていた「石」たちではありますが、プログラムさえ書けば何でも出来るという夢いっぱいの時代でもありました。
ヘッダ写真はチップの思い出を語り始めたら止まらないオジさん達の風景。
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