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最後の手作り!?CPU - Z-8000

インテル8080互換CPUとして売れまくったZ-80をリリースしたザイログは、やはり16ビットの時代が来ることはわかっていたので、MC68000とほぼ同じ時期である1979年にZ-8000をリリースしました。

インテルの 8086 も含め、これら 3つの CPU で 16ビット時代の王者を巡っての戦いが繰り広げられることとなりました。8ビットな時代においては、圧倒的な力を誇っていたザイログなので、当初 Z-8000 の注目度は高く、このまま16ビットの時代でもザイログが優位ではないかと思う人も多かったです。

Z8000

残念ながら、やはりZ-80とのバイナリ互換性はありませんでしたが、16個もの16ビットレジスタを持ち、組み合わせることで64ビットまでのデータを扱えるようにしていました。もちろんアセンブラレベルでの互換性はとれるようになっていました。面白いのがアドレスバスは16ビットのままで、これとは別に7ビットのセグメントレジスタがあり、これをそのままアドレスとして使えば 8MB までのメモリを扱うことが出来ました。もちろん MMU である Z8010 を外付けすれば、さらに多くのメモリを扱えたようですが、残念ながら、この MMU に関する情報も記憶もありません。

ZILOG Z8001

Z8000 CPU

やはりアドレスが16ビットであるということは、移植の上では有利で、それ以上のメモリを扱うには、セグメントを使うというのは、8086 に似ています。他にも特権モードがあったり、伝統のリフレッシュコントローラーも内蔵してたので、回路を組むには苦労しませんでした。

この時代、CPUの回路設計にはシリコンコンパイラと呼ばれる、論理式を回路図に直すシステムが使われるようになり始めていたのですが、Z-8000は人間がCADを引いて回路を組んでいました。2万弱のトランジスタ数を持つ回路を、いくら補助的なツールを使ったとはいえ、手で作っていたのには恐れ入ります。今どきの CPU と比べると、それなりに雑然としているのがわかるのではないでしょうか。

Zilog Z8000 CPU Chip

しかしながら、Z-8000 は 68000以上に微妙なバグが残っていたり、パフォーマンスがいまひとつだったので、UNIX マシンとしては、それなりに使われましたが、徐々に尻すぼみになっていきました。やはりインテルのように互換性にこだわるか、モトローラのようにスッパリと切り捨てるかが良かったようで中庸を狙ったザイログだけが敗者となってしまったようです。

ザイログ

いやぁ悪くない石だったとは思うのですが、職人芸に走るのは考えものだったのかもしれません。

Z8000 Datasheet

Z8000Tech.pdf

http://www.bitsavers.org/components/zilog/z8000/Z8000Tech.pdf

ヘッダ写真は以下のものを使わせていただきました。

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:KL_MME_UB8001C_Zilog_Z8001.jpg

#CPU #Z8000 #16ビット #ザイログ #セグメント #8086 #68000 #Z80

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