熊野古道伊勢路を歩くday1#1
松阪駅からJRに乗って伊勢市駅まで行く。松阪から伊勢までは、近鉄とJRの列車が同じ駅同志で繋がっているが、多気駅を経由する参宮線の方が、なんとなく熊野古道を歩くには向いているのでは。と言った理由でJRを選択した。
この辺りのJR線は架線がない。いわゆる電車ではない。だからだろうか。南勢地区の知人は電車と呼ばす汽車と呼ぶ人が多い。
平日の昼間。乗客の少ない汽車に揺られての久しぶりの鉄道旅だ。
松阪から紀勢本線に乗り、10分足らずで多気に着く。ここから参宮線に乗り換え20分少々で伊勢市駅に着く。わずか30分ほどの電車だが、窓から見える風景に不安と期待が広がる。
伊勢市駅を降りると、少し風が強めに吹いていたが、厚手の上着を羽織っているので、そう寒さは感じなかった。
伊勢市駅から内宮までは、バスの移動だ。
バスには学生の姿が目立つ。また、トレッキングバックを背をった老夫婦や、伊勢観光に来た団体も乗っていて、電車とは違う賑やかさがあった。観光地と実用性を両立した路線なのだろう。
2024年2月6日。前日の雨が上がり、晴天に恵まれた日だ。北西からの風が時より強く吹くが特に気にならない。
松阪市民の僕は、何度と伊勢神宮内宮に参拝に行く事があるが、今回は少し違った趣だ。
バスは順調に、五十鈴川駅を経由して内宮大鳥居までやってきた。バスに残った全ての客がここで降りて三々五々と別れていく。
その一つの流れに沿って内宮を目指す。宇治橋から内宮正面まで、1km弱。これからの肩慣らしのつもりで歩くには少し物足りないが、神聖なる参道なので心を落ち着かせるようにゆっくりと歩いた。
本来の伊勢神宮の参拝方法では、外宮から参拝し内宮へ足を運ぶとなっているが、現代風にアレンジしても大目に見てもらえるだろうと勝手な解釈で参道を進む。
何度となく参拝してきた伊勢神宮内宮だが、目の前に立つとやはり大きく包まれる気になる。
つくづく三重に生まれて良かったと思う瞬間でもある。
階段下から見上げる内宮正宮を前に、これから始まる壮大な冒険を思い、一段一段と階段登った。
そう。ここがスタート地点。ここから170kmを超える熊野古道伊勢路を50過ぎだおじさんが歩こうという訳だ。
もちろん一気に歩く訳もなく、休日を利用して踏破しようと思う。
何日かかるか。はたまた途中で辞めるかはわからないが、内宮に鎮座する天照大神に、旅の安全と完走を祈願して、170kmへの第一歩を踏み出した。
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