熊谷榧展「日本の山々」 熊谷守一美術館
熊谷守一さん。その作品は、アートの知識に無知な私の割には以前から記憶にあります。学生の頃であったか、確か京都国立近代美術館で作品展が開催され、その特徴的な画風の故か今でも心の中に止まっています。特に蟻を描いた作品の印象が強かったでしょうか。
今回、そのご息女である熊谷榧さんの「日本の山々」という名の展覧会が開催されているとの情報に、お父君の色使いを思わせる作品のイメージと共に触れ、熊谷守一美術館を訪れました。
住宅街の中に溶け込むように存在するこぢんまりとした建物。
今回は、1、2階には熊谷守一さんの作品が、3階に熊谷榧さんの作品が展示されています。それで、まずはお目当ての熊谷榧さんの作品を鑑賞します。前者は全作品が写真撮影不可ですが、後者は写真撮影が可能でSNSなどで公開しても良いと書かれていましたので、拙い私の文章でご説明するよりも、28点展示されている中から、私が惹かれた作品の写真を並べてみます。
最初に、一番惹かれた作品が、タイトル写真の「ブナ林からの磐梯山」という作品。
4月頃、雪解けが進む頃の風景でしょうか。私も好きな山、磐梯山。写実的に描かれている訳ではなく、色使いも含めて特徴的な作品ながら、その山を再訪したい想いに駆られます。ただ、何度か訪れ、猪苗代側からも裏磐梯側からも登っている山であるにもかかわらず、どこから望んだ姿なのかは分からない。
それでも、あぁ残雪期の磐梯山だなぁ、また登りたいなぁと思わせるのです。大好きなブナ林越しの姿にも一際惹かれる作品です。
作品が描かれた場所や季節から、作者が本格的な登山者であることが容易に伺えます。山が好きな一人として、その作品からは山に対する愛情を強く感じざるを得ません。著名な芸術家の御息女という先入観を抜きにして、その表現、作風に感じ入った素敵な展覧会でした。
さてひとしきり熊谷榧さんの山の世界を堪能した後、1階と2階に展示されている熊谷守一さんの作品群に触れます。
最も印象に残ったのは「桜」という作品。
背景に満開の桜が固まりとして表現され、その前にインコでしょうか、鳥が描かれている素朴な作品。情報量としては少ないと言えるでしょう。しかし構図と言いましょうか、色使いと申しましょうか。。何とも作品の前からなかなか立ち去り難い、深い印象を私の心に残す作品でした。こちらの作品は絵はがきや一筆箋も販売されているので思わず購入。
この美術館には小さなカフェもあります。
来てよかった。
雪山好きな私ですが、今シーズンは12月半ばにインフルエンザに罹患。薬を飲まなくても寝ていれば治るだろうと処方された薬も購入せず、確かに熱は2日で下がったものの、免疫に負担がかかったのか、帯状疱疹を大腿部に発症。このウィルスの特徴とされる痛みはほとんどなかったのですが、人に移してはいけないので、雪山とセットの温泉には行けず。。気管支喘息もインフルエンザの前から再発していたので、年始には人にはもう移さないと医者のお墨付きは得ていたものの、あまり身体を動かさずにおりました。
先週、禁断症状が出てきたので(笑)、リハビリも兼ねてゆるゆると八ヶ岳を散策、遅ればせながらの登り初め。
しかし、熊谷榧さんの作品に触れ、再び山への想いが高まってきました。
是非とも他の作品も観てみたいので、こちらの美術館の情報は定期的にチェックしたいと思います。
尚、熊谷榧さんの「日本の山々」展は3月16日までの開催です。