“たたかう本屋” No.2 いろは書店・八木久さん(石川県珠洲市)[その1] ~ なぜ、“さいはての地”で本屋を続けるのか?
“さいはての地”で出会った本屋
大地震にも耐えた
地元に根差した本屋
儲けようとは思わない
━━ 僕は旅が好きで、全国いろいろ行くんですが、地方の本屋さんって、正直、結構、寂れた感じのところが多いんですけど、ここはすごく明るいですね。
店主・八木久さん) 遊びでやってるからですよ。道楽でやるしかない。
これで一儲けしてやりましょう、なんて時代じゃない。
朝8時半に開くカフェスペース
子育ての味方 キッズコーナー
渋々、継いだ本屋
八木久さん) 父親が「どうしても継いでくれ」って言うから、仕方なし(笑)。
ほんで、やるからには、なんとかかんとか本屋らしい本屋をやりたい、というのが若い自分の夢でしたね。
「地域の文化を守るためには、書店がないと駄目だ」
八木久さん) 私がなんで本屋さんを続けているかっていったら、やっぱり
「本屋っていう商売は地域に大事なものだ」っていう思いがあるんですね。
損得じゃなくて
「その地域の文化を守るためには、書店がないと駄目だ」と。
まあ、このごろはネットで買える時代になりましたけどね。
でも、それはまた別のもので、
店で並んでるものを眺めて買っていく…というのは、やっぱり絶対、必要だと思うんですよ。
それで続けなきゃならん、っていう思いがあって…。
にぎやかだった昭和時代、 現在の人口は最盛期の3分の1
八木久さん) 高校生の多い時分は、ここ、毎日いっぱいでしたよ(笑)。毎日のように警察に叱られてね(笑)、自転車がよう置いてあって…。
そんな時代もありました(笑)。
人口減少時代 これから先の本屋像 ~図書館の中に本屋
八木久さん) いやあ、長いことやってると、いろんなドラマがあったなって思い出すけど、
今、私が考えているのは…、これから先のこととして考えているのは…、
本屋っていう職業がもし無くなったとしても、
公設の図書館があって、
その図書館の中に本を買える場所があればいいなと。
この前、珠洲市に新しい図書館が出来たんですけども、
その時に、行政に私が提案したのは…、ぜひ考えてほしいと言ったのは…
【おそらくこのままで行くと、本屋は無くなる可能性がある。
だから先々のことを考えたら、図書館の中に本が買えるコーナー、
要するに、
図書館にある本を手に入れたいと思う人がおいでたら、
すぐそこで注文すれば買えるような、そんな仕組みを作れんか?
それを、今まで本屋をやっておいでる人の中から残った人にお願いする ━━
そんな仕組みを作ったらどうですか?】
という提案をしたんですけど、行政側は「それは先の話だ」と(笑)。
「そんなの、もっともっと先の話だ」、
「その時に考えればええがやないか」というような話でしたけどね(笑)。
でもまあ、実際、そうなっていくだろうと思います。
ここだけじゃなくて、どこの田舎に行っても、そういう形で、
本屋と図書館が両立できる関係を作っていけば、まだまだ役に立つかなと?
考えてみればね、コンビニがあれだけ発達したのが、今、行きづまって、ドラッグストアがまた増えて、っていう時代になってきましたからね。
いずれ、どんどんどんどん、また新陳代謝が起こるだろうと思いますよ。
本屋で良かった
まあ、私は渋々、本屋を継いだけども、
今にして思うたら、本屋にしてよかったなと(笑)。
自分が好きな本をいつでも見られますからね(笑)。
それだけが役得かなと思います。
そんな感じに思ってますね。