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ゴールデンカムイの世界から

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ゴールデンカムイブームにより一躍脚光を浴びたアイヌ民族。 大学1年の頃の偶然な出会いにより、アイヌ民族の方々と交流するようになった筆者が、そこでの出会いや経験から感じたこと、考え…
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#シドニー

母語を知った彼女は、涙を流した

母語を知った彼女は、涙を流した

シドニー留学中、私はあるアボリジニの言語教室に参加した。
アボリジニと一言で言っても、多様なグループに分かれており、言語や文化など100以上になる。
今回参加したのは、アボリジニのウィラドゥリというグループが話すウィラドゥリ語の教室だ。ウィラドゥリ人は、ニューサウスウェールズ州ウォガウォガにある人口5万人程度の街付近にもともと住んでおり、このウォガウォガという地名も、ウィラドゥリ語で取りの多い地域

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平和と紛争は共存するものだよ

平和と紛争は共存するものだよ

私が留学中に通ったのは、シドニー大学平和紛争研究センターという機関だった。そこでは博士研究員の方々の指導を受けながらそれぞれの研究を進めた。私のメンターとなった博士研究員の方はアフガニスタン出身の方で、将来は母国の発展に貢献したいと話していた。

この機関だが、平和と紛争というなんとも共存しなさそうな言葉が並んでいる不思議な名前の機関だなあと思っていた。するとある時、所長からこんな話を聞かされた。

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ホストファミリーは父親2人

ホストファミリーは父親2人

2015年2月。大学のプログラムを通してシドニー大学へ短期留学をした。アイヌ文化に触れる中で、海外の先住民族の状況にも関心が高まっていた。

オーストラリアには、アボリジニーとトレス海峡諸島民と2つの先住民族グループが暮らしている。今回の短期留学では、この2つの先住民族グループについて学んだり交流したりすることを目的としていた。
自分自身は、前回の二風谷訪問をきっかけに先住民族の言語復興運動につい

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