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サくら&りんゴ#146 ピローギ

セント・ジョーンズとビーチロードの交差点にあるモールにデリカテッセンが出来た。

この交差点は夫の闘病中、911にコールした時に伝える場所であった。救急車を呼ぶのに住所を言うと、一番近いメジャーな交差点はどこだと聞かれるのだ。初めての時はどこを言えばいいのか分からなかった。2回目の時もおろおろした。しかし合計で10回コールしたので、最後の方は聞かれる前から言えるエキスパートとなった。

それはさておき、そのデリカテッセンはかつて韓国人夫妻が経営するドライクリーニングが入っていたところだ。
その頃夫が建てる湖畔の家にはまだ洗濯機がなかったので、私たちはそこのコインランドリーを利用していた。夫と店主は仲良しでいつもビジネスの話で盛り上がっていた。店主はそこを売ってレストランを始めようとしていたのだ。

湖畔の家に洗濯機とドライヤーがついて、その店には夫のワイシャツを預けるだけになった。
その頃夫はまだ、ビジネス関係でワイシャツを着る機会があったのだ。

一度目の入院の後も夫は元気で、ワイシャツを取りに行くと店主とやっぱりビジネスの話をしていた。思うように買い手がつかず試行錯誤している様子だった。

そのうち夫がICUに入り、病院生活が続き、預けるワイシャツはもちろんの事、私の服でドライクリーニングが必要な物もなく、すっかり足が遠のいてしまった。それでもそこは病院と自宅の行き来で必ず通る交差点で、気持ちの余裕のある時はどうなったかなあと気にかけることができた。とんと顔を見せないので、あるいは心配してくれているのではないかとも思った。入院していると告げに寄ってみようと思いつつそのままになった。家に食事に呼ぶほどの仲だったのである。

しかし夫が在宅緩和ケアに入るとその交差点を通ることもほとんどなく、ドライクリーニングの行方を気にかける余裕などあるわけもなく、ひょっとしたら夫のワイシャツ一枚くらいはまだ預けっぱなしになっていたかもしれないが、ある日気が付いたら店の看板が下ろされていた。

その後一年くらいは空き店舗になっていたのではないだろうか。

デリカテッセンと看板が掲げられたのはいつの頃だったのだろう。OPENと電光の文字が窓ガラスに光っている。
パンデミックでしばらく開けられなかったのがようやく営業開始となったのかもしれない。

散歩の帰りに中を覗いてみる。
狭い店舗に商品が所狭しと並べられている。
ちょっと異国な雰囲気(笑)。
トマトやパプリカの色とりどりの瓶詰。
カウンターにはチーズやサラミ、ソーセージ、
そしてお惣菜。
ふとその横の冷凍庫を見るとピローギが置いてあるではないか!最近知ったばかりのウクライナの伝統フードである。

さっそくチキンが入ったのを買うことにした。

一口サイズの冷凍。ラム版もあった。
沸騰したお湯に入れて7分

サワークリームと共にと書いてある。
グラスフェッドのサワークリームがあったので一緒に買う。

グラスフェッドはお高め。え~牛って皆さん牧草食べてんじゃないの~?と思うところですが。


さあ、味のご想像を~!

サワークリームをつける前にひとつ
口の中へぽこん。

あれ?あれあれ~?これって



まるっきりの水餃子!!

見かけ通り!
ゴマ油入れました?疑惑

ところがサワークリームをつけると!
途端に東ヨーロッパな味(私の想像)となるのである。思いがけなくサワークリームといい相性ではないか!

と言うことは日本で作る餃子にサワークリームもありってこと???


セント・ジョーンズとビーチロードの交差点
時は経って

交差点はあの頃のままだけれど
気付けば少しずつの色々が変化していて

あんなに苦しかった事が
到底軽くはならないと思っていた事が
気付けば少しずつの色々が重さを失って
あの頃の事をふっと軽く思い出せるようになった

⁂グラス(grass)フェッド(fed)の牛。肉だけでなくバターやヨーグルトまで見かける。え~牛さんて牧草食べてるのにそれ強調する?って思った私。無知であった。太らせるために最後に穀物を食べさせるらしい。その自然に反したことをせず、ずっと牧草を餌にして飼育した牛と期待されるが、表示の規定がまだ確定されておらず、ラベルに要注意ということである。


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ながつきかず
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