木との対話
どこの家の前にも道路との間にスペースがある。そこは常に整備しておかなければ町(多分)の行政から指導が入る。
交通標識なども設置されている場所である。
さてうちの前にはしょぼ~いメイプルの木が一本。そしてお隣との境界脇にマルベリ―とハニーサックルのブッシュ。
このマルベリーが枝を伸ばしてワイルドになり毎年手を焼いている。ひと夏でお隣のドライブウェイに覆いかぶさらんばかりに伸びるのだ。
下の写真の木の電柱にかかっているのがマルベリー。電柱には駐車禁止の標識があるのに今やすっかり隠れてしまっている。(田舎とはいえ車が通ります、一応。。。)
クリッパーと呼ばれる両手で切るハサミを持って来て小枝を切る。
しかし太い分にはとても歯が立たない。
そこへやって来たのが斜め向かいに住むキース。
確か去年このマルベリーを切っているときにも”現れて”くれた。
今日も私に近づいてきて、そのクリッパーでは無理だと言ったかと思うと太さ対応のついているのを自分ちのガレージから出してきてくれた。
いやノコギリの方がいいな
今度はノコギリを持って来て太い枝を切ってくれる。
いやこれだと埒があかない
とうとう電動のこぎりがやって来た。
上の方のも切っっちゃった方がいいだろ?
今度は梯子を持って来てよじ登り、隣家に覆いかかっている太い枝を
ブィーーーーーン、ブインブイン!
あっという間に大きな枝が払い落された、バサリ!
それからは二人作業。
切り落とされたのをさらに短く切って適当な量にまとめて紐でくくる。
両手を広げてごらん、その長さの紐で二か所結ぶんだ。
大体ごみ収集の時にすべり落ちた枝は持っていかないんだよ、拾い上げる時間がないとか言ってさ。二か所結わえておくとその心配がないだろ?
そんな事を教えてくれる。
そしてそばにあるメイプルの木をさして
この木はジェイ(夫)が越してきた時はこんな小さかったんだよ。
キースは地面から50cmあまりの高さに手袋をはめた手をおろす。
私はてっきリ前の住人が植えたのだと思っていた。
こんな小さいのどうすんだよ、って言ったんだよ。そしたらジェイは大丈夫育つからって。
この辺りで夫ジェイを知る人が少なくなってきた。ここ数年住人の入れ替わりが激しく、キースはもう一番の古株である。
でも今ひとつ様子がよくないの。
私もメイプルの木を見上げて言う。
下の枝の剪定をした方がいいな。
そう言ってキースは情けなく垂れ下がった枝を切り落としてくれる。
そういうことか。
昨秋の私はメイプルの木を見て、みすぼらしいなあと思うばかりでちっとも愛情をかけなかったのである。つまり剪定どころかほとんど見上げもしなかった。
↓去年秋のメイプルの木
ふとハンターである同居人の言葉を思い出す。おむつの頃から夫に付いてハンティングに行っていた彼である。夫との歴史が私の何倍も長い。
叔父さんとこにあるリンゴの木にちっともりんごがならなくてさあ
ある年ジェイがやってきて剪定したんだ
そしたらその次の年から見事にたくさんのりんごを付けたんだぜ
そういうことか
木の剪定
つまりは私と木との対話
私はこのメイプルの木と何の話もしてこなかったなと
湖畔の家の南側にある三本のリンゴの木。それらとは毎日欠かさず対話をしている。つまり枝や葉っぱの様子を毎朝見に行くのである。
ところがリンゴの木の並びにあるネクタリンはほとんど素通り。去年たくさんの実をつけてくれて、そのままで今年も実をつけるだろうと勝手に思っていたのだ。
そうしたら春先に全く花をつけなかったのである。
つまり今年のネクタリン収穫はゼロ。あらまあ~!
私は驚く
木たちの繊細さに
それはちょっとした人間との駆け引きのようでもあって
さてキースのおかげで家の前はこんなにすっきり↓
駐車禁止の標識も現れた。
そしてのこぎりを返すのと共に裏庭からの採れたてもキースのもとへ
少しばかり自然に働きかける、すると自然もちょっとばかり答える。また私がそれに応える。ガーデニングはそんなことの繰り返し。人との会話みたいに。
先日も紹介したこの本。
私のバイブルとなっている(あ、まだ読み途中ですが💦)
↓こちらでも本を紹介しています
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