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おでんから考える多様性の話

父は「おでん」のことを「関東煮(かんとだき)」と言います。これは関西の方言なのでしょうか。

ただ、同級生を含め、同世代の人たちで「関東煮」と言っているのを聞いたことがありません。(私から見て)おじさん世代の人たちが使っている言葉という印象があります。

正確な真偽のほどは分かりませんが、「コンビニおでん」の存在が、「関東煮」という言葉を衰退させ、「おでん」という言葉を全国区にしたのではないか、と私は思っています。私が小学生くらいのときは、コンビニおでんはあったはずです。

コンビニによって、全国的に広まったものといえば「恵方巻き」ですね。
大阪生まれの私は、幼少の頃より節分の時に太巻きを食べるという風習がありましたが、全国的なものではないそうです。こちらは、コンビニの戦略によって全国的に広がっていった、というエピソードが調べれば出てきます。

大手コンビニチェーンが全国展開することで、日本中で同じものが手に入るようになりました。
資本の力によって、ある地域の文化や風習を全国的に広めることができる一方、それによって「多様性」が無くなってしまうことがある、というのは少し残念な気もします。


資本の力によって多様性が失われているのは、海外の高級モールに入ったときにも感じることがあります。
どこのモールに行っても同じなんです。
もちろんモールのコンセプトや装飾による違いはあるけど、入っているテナントはどこも似たようなもの。シャネルやグッチのハイブランド。ユニクロやH&Mのファストファッション。スタバやマクドナルドの飲食店。これらが揃ったモールは、どの国に行っても見つけることができるのではないでしょうか。

世界中どこでも同じものが手に入るというのは非常にありがたい一方、多様性がなくなっていくようで、これもまたやはり寂しさがあります。

しかし、これら世界企業は、すべての商品が世界中で同じというわけでもない、ということに、インドネシア生活を始めてから気がつきました。

インドネシアのユニクロでは、エアリズムのヒジャブ(イスラム教徒の女性が頭にまくスカーフ)が売られています。マクドナルドでは、お米やお粥のメニューがあります。
それぞれの国に合わせた経営戦略なのだろうが、これによってただのチェーン店ではなく、文化や風習を取り入れた多様性を持った企業をということになっています。

資本の力によって多様性が失われたと思っていましたが、資本の力によってまた多様性が生まれています。

今までどの国でも同じチェーン店ばかりだと思っていたモールも、きちんと中身を見れば違いがあるようです。このような多様性探しができるのが、海外生活の楽しみのひとつでもあります。


関東出身の妻は、好きなおでんの具は「はんぺん」ということらしいです。関西のおでんには「はんぺん」はありません。私が好きな「牛すじ」は関東にはないようです。
コンビニおでんもまた多様性の塊です。

かず

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