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詩作Ⅵ「青い鳥の話」

ねえ 青い鳥を 知ってる?

知っているよ チルチルとミチルの話さ

青い鳥は どこへ 行ったの?

最初から 家にいたのさ

青い鳥を 見たことある?

あるよ ほら 図鑑の中に描かれてる

ねえ あたし ほんとうに 青い鳥を探しているの

あなたは まだ 何にも 知らない

ここが おとぎ話の国だと 思ってる

ここに チルチルとミチルは いない

青い鳥は 最初から家に いたわけじゃない

あの美しい カワセミの尾羽根が 開くところを

その眼で見たことがない

あたしは これから きっと 遠い国へ行く

あなたは 本を手放し 家を飛び出して

おとぎ話の国から 出ていく

青い鳥が つかまえられなくても いいよ

ほんとうのさいわいは

飛び立つ前の

あなたと あたしが

ここにいたこと

ほら

川べりの向こう

青い鳥が見える

<詩作のあと書き>
六番目に書いた詩になりました。この前、友人が「青い鳥ってどんな話だっけ」と言うので、それから着想を得て作りました。あんまり感傷的にならないように作りたいと思うのですが、難しかったりしますね。

宮沢賢治がよく使う言葉に「ほんとうのさいわい(ほんたうのさいはひ)」っていう言葉があります。あれって何だろう、僕にとっては昔から謎で、答えられなくて、でも妙に引っ掛かっていて。それを詩にしようとしたら、月並みなことしか言えませんでした。

ここにはさいわいなんてものはないのかもしれない、でもここにいたことは、それでもやっぱりさいわいだったんだよって、ちょっと言ってみたかったのです。

2023/04/06 18:49

kazuma


 

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