【学校に行ってみた】かえつ有明中・高等学校(Part 2:生徒同士の対話/クラスのトラブル)
こんにちは!
今日は先日お邪魔させていただいたかえつ有明中・高等学校さんで実際に見た出来事を紹介ささせてください。
実は僕がお邪魔した日に、高校新クラスのある学年でちょっとしたトラブルが起きていました。そのトラブルの様子とそこで行われた生徒同士の対話を、先生がそのまま見せてくれたんです!!
その日は僕以外にも学芸大の学院生も見学に来ていて、多くの方が見守る中、その対話は続けられました。
今日はその一部始終と、その時の生徒/先生の想い、そこから僕自身が感じたことを書いてみたいと思います。
トラブル発生!
僕が学校を見学させていただいていると、何やら輪になって深刻に話し会っているクラスがありました。
探求授業の時間、基本的には自由に時間を使っていい生徒たちですが、その日は参加希望の生徒だけ「哲学対話」という生徒主導のイベントを行う予定だったそうです。
しかし、授業の最初は全員で集まるのか、その必要がないのかが曖昧だったようで、今後どうすべきかを話し合っていました。
そのうちに話が拡大していき、探求授業って何?自由時間とどう違うの?この時間をどう使いたいの?と話が膨らんでいきました。
生徒の中には何を決めるべきなのか、何を話しているのかわからず、もやもやしている生徒もいます。ちょっと重い空気にストレスを感じている生徒、自分には関係ないと思っている生徒、早く解決して明るい空気に戻そうとする生徒など様々な方いました。
対話は、椅子だけを円形に配置し、その中に先生と生徒がいる状態で行われました。
先生は終始、発言したい生徒に話を振るだけで特に何も言いません。生徒から質問があったときだけ自分の意見を慎重に言うだけでした。
問題自体の解決は簡単だったかも知れません。
「毎回授業の最初は全員で集合してから解散にしましょう。」
先生がそう言えば解決していたかも知れません。
ですが、先生は頑なに生徒に対話を促し、聞き手に回っていました。
生徒のもやもや
生徒はおそらく、この時間に何を決めるべきなのか、何を話し合うべきなのかが明確になっていないことにストレスを感じたのではないでしょうか。
大人でもよくある話だと思うのですが、
・何を話し合うのかわからない会議
・ゴールが明確でない打ち合わせ
などはやっぱりストレスですよね。
それに加えて、その日予定していたタスク、やりたいことがあった生徒もたくさんいたと思いまうす。
自分の時間がよくわからない対話のために奪われていく、そんな感覚を持っている生徒もいたのではないでしょうか。
実際に話に全く参加せずにビンボー揺りをしている生徒や、ずっと腕を組んでむすっとしている生徒もいました。
それでもなんとか自分の意見を出し、どう思っているのか、どうしたいのかを話し出します。
ポツポツと話し出した生徒たちですが、まとまりがなく、何について話すべきなのかが明確にならないまま時間だけがすぎてしまいました。
結局その時間では何も決まらないまま授業は終了。
生徒たちの中にはもやもやが残ったままだったように見えました。
生徒が実際に感じていたこと
この時間の後に、実際に生徒から話を聞く時間をもらえました。
僕は、「さぞかし先生に対して怒りと不満が溜まってるんだろうな」と考えていました。
ゴールもよくわからない謎の時間、先生は一切助け舟を出さず、ただ気まずい雰囲気を作っただけ。
僕の経験上、そんなことをしたら先生に避難轟々です。
ですが、生徒の話を聞いているとそんなことはなかったようです。
あの時間の中で、何を話すべきか全体でのコンセンサスは取れていなかったですが、僕が話を聞いた生徒は明確な目標を持っていました。
そしてみんな「あの時間は必要だったんだと思う」と言うのです。
と聞いた方も、その真意は「先生の言うようにする」のではなく、その対話の1個人として意見を求めただけだったそうです。
最終的に自分達で解決する必要があることを理解していたことに驚きました。
そんなふうに話してくれた生徒もいました。対話する上で考え方や価値観が違うのは当たり前。それを理解した上で最後まで対話し続けることを知っているようでした。
先生が感じていたこと
その日の最後に、先生にも話を聞くタイミングをいただけました。
あの場における先生の真意は、
「自分達で問題を定義し、その問題への解決策を考えること」
だったそうです。
方向性を決めてしまうことも、対話をリードしてしまうことも簡単です。
話し合いが進み平和な学級は作れますが、それでは彼ら自身の能力は伸びません。
なぜこのようなトラブルが起きたのか、それによって誰がどのように感じたのか、今後はどうするべきなのか、
それを自分達で話し合い、解決するプロセスにこそ意味があるのではないでしょうか。
その点において、先生は生徒のことを信頼していました。
あの時間内で無理やり答えを見つける必要はそもそもないし、彼らが対話を止めることもないだろうと考え、自由にさせていたそうです。
そしてその時間こそがとても重要だからこそ、
その一部始終を全て見学している僕らに見せて下さったそうです。
これすごくないですか!?
僕が教員時代は他の先生の前「でいい格好しよう」とか「頼むからトラブル起こさないでくれ」なんて思ってました。笑
でも、そのトラブルに先生がどう対応するか(今回は何もせず、生徒に任せた)を見せてくださったことに本当に感謝です。
対話する練習を1年生からずっとしている
ここまで対話ができる高校生は珍しいのでは!?
と思い、その秘訣を聞いてみました!
その秘訣をいくつか紹介しちゃいたいと思います!!
グラウンドルール
高校新クラスの生徒にはグラウンドルールがあるそうです。
・相手の話を最後まで聞く
・まずは相手の話を受け入れる
これはどの生徒も同じように話していました。
実際にこのルールを破りそうになってしまった生徒がいるときは
周りの生徒が止めるそうです。
「気持ちはわかるけど、話最後まで聞こ」
「いきなり否定しちゃったら勿体無いよ」
といったふうに
当たり前だけどなかなかできないこのルールをちゃんと理解し、
守ることができるからこそ、安心して意見を言い合えるのかも知れません。
「ただ聞く」
1年生の頃から対話するために様々な研修があるそうですが、その一つに「ただ聞く」と言う練習があるそうです。
頷いたり、質問したり、せずにただ相手の話を聞き、受け入れる練習だそうです。
自分の話をするとき、1番怖いのは「相手に否定されること」だと思います。それをしない練習をするそうです。
研修を通してそれが苦手なのか得意なのかを知り、
そしてその難しさを理解することで、
メタ認知に繋がり普段の会話の中でも意識できるようになります。
「第3者目線で対話を理解する」
次に、2人の対話を聞き、彼らが何を伝えようとしているのかを第3者目線で伝えるワークだそうです。
聞き手(当事者)として相手の真意を読み取ることはなかなか難しい時があります。
そこで第3者となって話し手が何を伝えようとしているかを冷静に読み取ります。伝えたかった内容が一致しているかを後で確認します。
相手の伝えたいことをできるだけ解像度高く理解する練習かと思われます。話を聞いていると、聞き手の先入観がどうしても入ってしまいます。それはもちろん仕方ないことですが、先入観が強いとコミュニケーションにズレが生じます。
そのズレをできるだけ無くす練習になるかと思います。
このように、様々なワークショップを通して生徒は対話するスキルを身につけていくそうです。
まとめ
さて、今回はかえつ有明さんで実際に見たトラブルと、そのトラブルへの向き合い方について触れていきました。
対話で解決するって「言うは易し」ですよね本当
大人になった今でも、実際にできているのかと言われたら「ん〜」と思うことも多々あります。
しかも自分達で問題の原因を探して、解決するとなるともうてんてこまいです。
ですが、今社会で求められている能力の一つであることも事実です。
そんな力を身につけられるような学習サポートされている
かえつ有明の先生方には驚くばかりでした。
みなさんは学校や会社、その他のコミュニティで
対話が活性化するように心がけていることは何かありますか?
もしよければ、コメント欄で教えていただけると嬉しいです!
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