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009_人事システムの機能強化・機能統合をどう捉えるか?

最近、日本の人事関連システム業界でも、人事フロントシステムが勤怠機能やタレマネ機能を強化・集約したり、逆にコア人事・給与計算システムがタレマネ機能を強化・集約する動きが活発化しています。
私もクライアントから「人事フロントのSaaSベンダーA社が勤怠機能をリリースするみたいだけど、そこを見越してA社を選定候補に入れた方がいいかな?」のような相談を頂く機会も増えてきました。
HRテックにおけるこうした機能強化・集約の流れは、「競合製品に追いつけ、追い越せ」という製品戦略上仕方ないことですが、私は「このサービスって今のままの方がいいのに・・・」と思うことがあります。
二番煎じで同じような機能を実装するのであれば圧倒的にトップリーダーが有利ですし、機能追加に伴う開発面でのリスク、などなど理由はありますが、整理すると「費用対効果」と「保守性」の2点で確証を得ない限り、前向きな判断することが難しいと思うからです。

新機能は一見、ベンダーとユーザ企業双方においてポジティブなように映ります。しかし、そもそも新機能開発は「既存システムの基盤に手を入れる」行為であり、この行為自体「想定外のバグを誘発」「パフォーマンス劣化」「以降のエンハンス対応で想像以上に工数が膨らむ」等のリスクになります。
このリスクは、「サービス体制の脆弱化」、「サービス品質低下」、さらに「ユーザーへのコスト増」として跳ね返り、便利になるはずが逆にユーザーにとって全く"有り難くない"結果を招くことになりかねないのです。
ここまでは一般的に言われていることですが、私個人がさらに気になるのは「このプロダクトのコンセプトを損ねてまで他社のプロダクトに追いつく必要ってあるのか」「この機能強化って逆にプロダクトの良さを消してしまうのではないか」という点です。

こうしたリスクを回避するために、ベンダーは「開発という投資判断をする前」に、ユーザ企業は「新機能に期待して導入判断する前」に、確かな情報に基づいた”冷静な判断”が必要ではないかと考えています。

少々簡易的ではありますが、ベンダー、ユーザというそれぞれの立場で、こんな「新機能、その前に」チェック項目を考えてみました。

★ベンダー側の”新機能開発前”チェックポイント
①プロダクトコンセプトを逸脱していないか?
②その機能は本当に投資対効果が得られるものか?
③システムの保守性は保たれているか?

★ユーザの”新機能導入前”チェックポイント
①プロダクトコンセプトを正しく理解しているか?
②新機能がコンセプトに沿ったものか?(ベンダーに聞くのもあり)
③本当に使えそうか?(導入事例を聞いたり、実際に操作させてもらうのもあり)

最後に・・・これはどんなソフトウエアでも言えることですが、リリース直後はバグ発生件数は増える傾向があります。
慎重になり過ぎるのもよくないですが、楽観的過ぎるのもよくないので、こうしたリスクに対して、上記のようなチェック項目を活用してほんの少し”冷静になって”にご検討頂くといいと思います。

ありがとうございました。


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