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ゲイとマッチングアプリとナイトクラブ
✳︎前提としてこのnoteはLGBTQに対して否定的なnoteでも差別するようなnoteでもありません✳︎
昨年、友人とナイトクラブなるものに初めて行った。結論から言うと、めちゃめちゃ楽しくて最高の夜だった。数ヶ月経った今でも撮った動画や写真を見返して余韻に浸ることがある。
正直なところ、ナイトクラブに対していいイメージはなかった。頭の悪そうなパリピがお酒飲んで踊って馬鹿騒ぎして、潰れた女の子を持ち帰る。そうゆうマイナスなイメージが自分の中にあった。
数年前に一度だけ、日本に住む従兄弟たちとディスコなるものに行ったが、陽キャたちのイケイケ雰囲気に圧倒され、「一生行かねぇ」と心に誓ったことがある。
でも、そのイメージを覆すぐらい本当に楽しい夜だった。コロナ禍になってから1番楽しい夜だったんじゃないかな。
でも、1つだけ、普通のクラブとは違う点がある。そのイベントが「LGBTQのための祭典」だったということ。
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僕はマッチングアプリをやっている。今更マッチングアプリをやってることを恥ずかしいとは思わない。みんな言ってないだけでマッチングアプリをやってるからね。このコロナ禍で出会いを求めるならマッチングアプリが手っ取り早いからな。
やる主な理由は恋人探し。副次的な理由で友達探し。マッチする性別を女性だけでなく、男性ともマッチするよう設定している。友達探しのためにマッチングアプリをやるやつは早々いないだろうが、僕はそういう目的もあってやっている。
コロナ禍になってから、友達と会う回数が減っていて、寂しくなっていたのもあるが、新しい刺激・価値観を得るために新しい友達を作ろうと奮闘していた。
もちろん中にはクソみたいなやつもいる。副業を勧めてくるやつ、株や投資といった話を延々としてくるやつ。男女関係なしにそれを目的としてやってる奴が意外と多い。
何度そうゆうやつらとマッチしたことか。人の心を弄びやがってこのくそが。だから僕はマッチした際に最初に「お仕事何されてるんですか?」と聞くようにしている。そのおかげか勧誘系か否かの傾向がつかめるようになってきた。
そんな中、同い年の男とマッチした。
メッセージを重ね、彼は就職で上京したためこちらに友達がおらず、友達作りのために男性ともマッチできるようにしていることが分かった。とても気が合った。そして、実際に会って飲みに行くことにした。
久々のお酒はとても美味しく一杯飲んだだけで割りと酔ってしまった。お酒には強い方で今まで潰れたことはないし、どちらかと言えば酔った人を介抱することの方が多い。そんな僕がありえないぐらい酔っ払ってしまった。アルコールを控えるだけでお酒耐性が下がるんだな。
楽しい時間はあっという間で、気づくと終電を逃していた。すると彼から「家近いから泊まってけば?」と言われ、初めて会う男性と夜を共にすることになった。僕が女だったら相当な尻軽だろう。
彼の家へ向かう途中、「あれ、俺もしかしてお持ち帰りされてる?」と冗談で投げかけると、「別にそんなんじゃねぇよ笑笑」と笑って返された。まぁ、そりゃそうだろう。
家につきソファで眠ろうとする僕に彼は言った。
「俺、実はゲイなんだよね。」
思考が停止した。カミングアウトをされたのは初めてで、どうゆう反応をすればいいのか分からなかったが、シンプルに
「そうなんだ。」
と返した。
「例え君がゲイでも、別になにも変わらないよ。」
とか、そんな臭い言葉は浮かばなかった。シンプルにお酒で頭が回らなかった。その後、彼から
「大丈夫!襲ったりしないから安心して眠って笑笑」
と明るく言われ、僕も
「いや、まじでやめろな笑」
と笑いながら返した。あまりにも普通の返しに安堵したのか、彼は天井を見上げフーっと大きく息を吐き、眠りについた。
ーーー
僕にはゲイとレズビアンの従兄弟がいる。母親曰くうちの家系はLGBTが多いらしい。そもそもフィリピン人にLGBTが多いらしい。
ゲイの従兄弟は僕と同い年で、ゲイだと表に出し始めたのは高校生になってかららしい。僕は小学2年生の1年間フィリピンの学校に通っていた。フィリピンの実家は何世帯もの家族が同じ家に住んでいる。そのため毎日のように遊んでいたし、兄弟のような存在だった。実際数か月早く生まれただけなのにお兄ちゃんと呼ばれていた。だから、彼がゲイだと知っても別に何も印象は変わらなかった。彼は見た目は男だが口調や仕草が女性といった感じだ。わかりやすく言えばナヨナヨしている。
レズビアンの従姉妹は日本に住んでいる。彼女は僕より8個も年下で、まだ高校生だ。にも関わらず既に同じレズビアンの彼女がいるらしい。従姉妹はボーイッシュな感じで髪を少し刈り上げており、ベリーショート。服装も基本的にはズボンで、制服もスカートではなくズボンを履いている。
彼女の母がショッピングモールで服を買う親子をみて「普通に娘と買い物したりおしゃれしたりしたかったんだけどなぁ」とボソッとつぶやいたその羨望と悲しみの言葉を今でも忘れられない。周りとは違う娘をもったこと。それに対するさまざまな思いや葛藤がその言葉に含まれていたんだろう。
僕の親族にはLGBTがいるため偏見もないし、気持ち悪いとも思わない。だって彼らは恋愛対象が同性なだけであって他と何も変わらない。むしろオープンにしていることを尊敬しているし、かっこいいなと思っている。逆に尊敬してるって言葉自体失礼でふさわしくないのかも知れない。なぜなら彼らはただありのままでいるだけなのだから。
友人にゲイだとカミングアウトされても特に何も思わなかった。ただ、直接カミングアウトされたのが初めてだったので少しだけ戸惑ってしまった。
24歳にして初めてゲイの友達ができた。
ーーー
ある日、
「ナイトクラブ行かない?」
と連絡が来た。クラブかぁ。マイナスなイメージしかなかったため、とても渋った。でも、心のどこかで行ってみたいなという気持ちもあった。しかもコロナ禍で行くのもどうなのという気持ちもあったが、「ナイトクラブ」というもの体験してみたいというインキャ心が勝って行くことにした。すると、
「そのナイトクラブ、LGBTQのイベントなんだけど大丈夫?」
ナイトクラブ自体初めてなのに、その上LGBTQのイベントだと言われ、俺が行ってもいいものなのかと色々考えたが、
「理解がある人なら誰でも大丈夫らしいよ」
と返され、根気負けして行くことになった。
イベント当日、
待ち合わせ場所の駅に着くと、そこにはありえん量の「男」で溢れかえっていた。冬なのに短パンの男もいれば、Jsoul系、ジャニーズ系、ホスト系、マッチョ系、女装系、外国人。ありとあらゆるジャンルの「男」がいた。
僕は、場違い感が否めなかったが、ここまで来たら行くしかねぇと覚悟を決め、イベント会場へと向かった。
イベントの開始時間は23時だったが着いたころにはすでに長蛇の列ができていた。列の中には女子のグループや、男女カップル、男子グループ、外国人グループといろんな人がいた。圧倒的に男が多かったがちょこちょこ女の子もいたし、車椅子で来てる人もいた。1番驚いたのは意外と外国人が多いという点。
あとから知ったのだが、このイベントは最大級レベルで大きなイベントらしく、毎年各国からLGBTが集まる催しらしい。
時刻は1時を回ったが、僕らはまだ外に並んでいた。どうやら、前売り券を買った人たちを優先して入場させているようで、僕たちが中に入れたのは並び始めてから2時間後だった。
そのイベントではダンスコンテストが開かれるらしくそれがメインイベントらしい。審査員には女優の「東ちずる」や明石家さんまの娘さん「IMALU」も来ていたらしいが、入る頃にはコンテストが既に終わっていたため見ることはできなかった。芸能人が審査員を務めるぐらいだからちゃんと大きなイベントだったんだろう。
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とにかくめちゃめちゃ人がいて、コロナ禍とは思えないぐらい人でごった返してた。わかりやすく言うと初詣かってぐらいの人数。友人とはぐれないように必死に会場を一周した。
クラブは大きく分けて4ステージに分かれていて、それぞれのステージで時間ごとに何かしらのイベントがある。小さなステージ、ダンスフロアのある大きなステージ、クラブの外にある小さなステージ、そしてプールが付いている屋外ステージだ。
僕らはそれぞれのステージを巡ったが結局屋外のプールのあるステージで過ごすことにした。プール付きのステージでは「いま世界から注目されているK-POPの元祖的パーティー「新宿二丁目K-POP NIGHT」」という謳い文句のイベントが開かれていた。
このK-POP NIGHTのせいでそれ以降K-POPしか聴かなくなってしまったってぐらいひたすらにK-POPが流れていた。
周りを見渡すと、若者が多かった。女子もいたし、外国人も結構な数いた。流れるK-POPに身を任せ人生で初めて縦ノリというものを体感した。バカ楽しかった。流れる曲は全部韓国語なのに、意外と歌える人が多くいたのには驚いた。そして小さなステージが用意されており、「踊れる曲があったら自由に踊っていいですよ」となっており、たくさんの人たちが変わりばんこでステージで踊っていた。
もともと僕は小学生のころダンスを習っていた。ロックダンスからジャズダンス、ヒップホップ等々いろいろやっていた。姉が通っていたため僕も無理やり親に通わされたのだが、それなりに踊れてたし、コンテストに出場したり、夏祭りなどのステージで踊ったりしたこともる。今でも男性・女性アイドル問わず、MVを見て軽く踊ったりしてしまうこともある。
所詮はかじってた程度なのだが、どうせ文化祭レベルでレベル低いんだろうなと何故か上から目線になってしまっていたが、予想より完成度が高く普通に楽しめた。機会があればまたダンスをやりたいなと思った。
友人はお酒でテンションが上がっていていろんな人に絡みにいきめちゃめちゃ楽しんでいたが、僕はお酒は控えておりお酒にテンションをゆだねることはできなかったが、お酒を飲まなくてもめちゃめちゃ楽しめた。そんぐらい楽しい空間だった。
他のステージではパンツ一丁の男がセクシーに踊っていたり、ドラァグクイーンがパラパラを踊っていたり、と色々あった。なんならスッポンポンで股間だけ手で隠しステージて踊っているボーイ?がいてそれを至近距離で撮影しているマッチョもいた。ボーイの周りには大量のお札が散らばっていたりもらったチップを口にはさみ、セクシーに腰を振りさらにチップが飛び交うなんて光景も目の当たりにした。ドラァグクイーンって近くで見るとめちゃめちゃでかくてびっくりした。ジムにいるマッチョよりもいろんな意味でデカかった。
噂で聞いたところによると、こういったLGBTのナイトクラブには「ダークルーム」というものが存在するらしい。生々しいので詳細は省略するが、クラブで意気投合した相手と「おいた」をする空間があるんだと。流石に怖くてそこには行かなかったが、何組かダークルームとやらに入っていく姿を見た。機会があれば色々と失うかもしれないという覚悟で潜入調査してみようと思う。
いろんな人(ほとんど男)に話しかけられて新しい友達もできた。どうやら僕は意外と男からモテるようで、めちゃくちゃセクハラ(ケツを揉まれたり、おっぱいを触られたり、股間をまさぐられたり)されたけど、それも込みで楽しかった。
こういった世界を知ることができたのはとても貴重だと思う。めちゃめちゃイケメンの人がいたりめちゃめちゃ可愛い女の子もいたけど、こんな人たちがゲイとかレズビアンなんだと思うと、世の中みんな隠してるだけで結構LGBTで溢れてるんだなって思った。世の中はLGBTに対して冷ややかな目で見る人もいるようだけど、このクラブに来ていた人たちはみんや周りの目を気にせずに楽しんでいるようだった。もちろん全員がLGBTではないと思う。純粋にクラブミュージックが好きで来ている人もいたし、僕みたいにLGBT文化を知りたいというストレートの人たちもたくさんいた。
みんなが大変だったこの2年間をまるで無かったかのように心の底から楽しんでいるように見えた。それだけで心がいっぱいになる。
後日知ったのだがその日の来場者数は2000人を超えていたらしい。まじで最大級のイベントだったんだな。
ーーー
「種の保存が〜」とかなんとかでLGBTを否定していた政治家がいたが、種の保存とかそんなの知ったことかって思う。
人類の存続云々より、みんなが自分らしく生きれる世の中の方が大事だと思う。そんな未来の話知ったこっちゃない。将来の子孫たちは少子化で困るかもしれないけど、自分らしく生きれない世の中より、自分らしく生きて滅びる世界の方がみんな幸せなんじゃないかなって思う。
みんなが自分らしく生きやすい世の中ができればそれでいいのだ。
人生で初めての経験だったが、いろんな人と話して沢山の価値観を得ることができたし、とても実りのある時間だった。もし機会があればまた行ってみたいなって思う。
なんか、色々話がまとまらなかったし、ごちゃごちゃしちゃったけど、総じて楽しかったってことが伝わればそれでいいや。
ドラァグクイーンと写真を撮らなかったことだけが唯一の心残りです。
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↑明け方に撮った写真めっちゃ綺麗