![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/69278828/rectangle_large_type_2_78117a16d566d48b1e00f2239ac82161.jpeg?width=1200)
骨粗鬆症を予防する良い生活習慣、悪い生活習慣を薬剤師が解説
今回は、骨粗鬆症を予防する良い習慣、悪い習慣について。
腰の曲がった高齢の方と歳をとってもスタスタと元気な高齢の方の違いは?
みなさんが歳をとったとき、どちらになっているのか?
それを左右するのは、生活習慣かもしれません。
元気な高齢者がどんな生活習慣を送っているかを知ることは、みなさんが骨粗鬆症を予防するために重要です。
それでは、さっそく2009年にシンガポール国立大学が行った研究を紹介したいと思います。
骨粗鬆症とは
2009年にシンガポール国立大学が行った研究です。(1)
45歳から74歳の中国人の男女、6万3,257名を対象に実施されました。参加者を8年から13年追跡し、股関節の骨折と彼らの生活習慣に関連があるかを調査しました。
Q: 股関節の骨折とは
A: 脚の付け根にあたる大腿骨の骨折です。骨粗鬆症で骨がもろくなった高齢者に多発します。股関節の骨折は予後が悪く、そのまま寝たきり、閉じこもりになってしまうことから社会問題となっています。(2)
Q: 骨粗鬆症ってどんな病気なの?
A: 骨粗鬆症とは、骨密度が低下して骨折しやすくなる病気です。骨密度が 70% 以下になると骨粗鬆症と診断されます。背骨や足の付け根の骨折をしている場合、骨密度が 80% 以下でも骨粗鬆症と診断されます。女性に多い病気です。
補足
Q: 骨密度とは
A: 骨密度とは、骨の強さを示す指標。骨密度が高ければ、骨が丈夫で折れにくいです。一般的に年齢とともに骨密度は下がり、とくに女性は骨密度が下がりやすいです。
研究の結果、股関節の骨折のリスクを下げる良い生活習慣とリスクを上げる悪い生活習慣がわかりました。
悪い生活習慣
悪い生活習慣は、喫煙になります。
タバコを吸う人は、股関節骨折のリスクが上がります。
とくに女性は、喫煙で股関節骨折のリスクが 27% 増加しています。男性はそこまでの影響は確認されていません。
ただし、男女ともに喫煙年数、喫煙本数が多くなるとリスクは上がるので注意が必要。
Q: タバコを吸ってるのですが、今から禁煙しても遅いのでしょうか?
A: 元喫煙者ではリスクが低下しています。
禁煙をすれば、将来の寝たきりになるリスクを下げることができます。
良い生活習慣
良い生活習慣は、全部で2つです。
1つ目は、大豆製品です。
大豆製品を食べる人は、股関節の骨折リスクが少ないです。
これは、女性にのみ確認されました。
Q: 大豆製品はどれくらい食べれば良いの?
A: スーパーで売っている豆腐なら、1日 4分の1丁も食べれば十分です。
豆腐を毎日 50g 以上食べている女性は、股関節骨折のリスクが約 30% 低いことがわかっています。
50g 以上食べても効果に差はありませんでした。味噌汁だと2杯分、納豆なら1パックで十分です。
Q: どうして女性にしか効果がないの?
A: 大豆に含まれるイソフラボンのためだと考えられています。
補足
Q: イソフラボンとは
A: イソフラボンとは、大豆に含まれるポリフェノールの一つ。ファイトケミカルとも呼ばれています。ファイトケミカルについて詳しく知りたい方は、こちらをクリック!
イソフラボンは、女性ホルモンと同じ働きをします。
イソフラボンと骨粗鬆症について
骨粗鬆症には、女性ホルモンが深く関わっています。女性ホルモンは、女性の骨がもろくならないように調整する働きがあるからです。
閉経とともに女性ホルモンの分泌が低下することで、女性の骨はもろくなり、骨粗鬆症のリスクが上がります。
男性の骨は、もともと別のホルモンによって骨の強さを調整しています。そのため、大豆製品からイソフラボンをとっても、股関節骨折のリスクが変わらなかったのではないでしょうか。
2つ目は、運動療法です。
大豆製品の他には、運動も股関節骨折を予防する重要な要素です。
運動療法については、以前別の記事で解説しておりますので、こちらの記事をあわせて読んでみてください。
まとめ
以上、骨粗鬆症を予防する良い習慣、悪い習慣でした。
まとめ
・股関節骨折は、骨粗鬆症で骨がもろくなった高齢者に多い。
・股関節を骨折をすると、寝たきりや閉じこもりになってしまうことが多い。
・男女ともに喫煙は、股関節骨折のリスクである。とくに女性では 27% もリスクが増える。
・女性では、毎日豆腐を4分の1丁食べることで股関節骨折のリスクが約 30% 低下する。
それでは、また次回の記事もよろしくお願いします!
参考文献
(1) Koh WP, Wu AH, Wang R, Ang LW, Heng D, Yuan JM, Yu MC. Gender-specific associations between soy and risk of hip fracture in the Singapore Chinese Health Study. Am J Epidemiol. 2009 Oct 1;170(7):901-9. doi: 10.1093/aje/kwp220. Epub 2009 Aug 31. PMID: 19720865; PMCID: PMC2765361.
(2) 日本整形外科学会