【むしろ肺がんになる】飲んではいけない3つのサプリメント
今回は、サプリメントについて。
サプリメントは、ビタミンやミネラルなどが含まれる健康食品です。
いいかえれば、食品から頑張って摂取しなくても、簡単に栄養素を摂取できるのがサプリメントです。
例えば、サプリメントにはビタミンCが1000mg配合、という商品も少なくありません。
もし、食品からビタミンCを1000mg摂取しようと思ったら?
パプリカを約5個分
キウイフルーツ14個分
レモン10個分
かなり努力しないと摂取できませんね。(1)
でも、サプリメントだったら?
コップにお水を入れて、サプリメントとコップのお水を一緒に口の中に放り込んでしまうだけです。
30秒足らずで、ビタミンC1000mgを摂取することができるようになりました。
最近、野菜や果物を食べられていないから、サプリメントでいっか!
サプリメントで栄養はバッチリだから、食事は美味しいものを食べよう!
そう思って、サプリメントを常用している方も少なくないと思います。
とても気持ちはわかります笑
しかし、「ラクちん」は時に落とし穴になることも。
それが今回紹介する、飲むと肺がんのリスクが上がる3つのサプリメントです。
No.1 β-カロテン
飲んではいけないサプリメント1つ目は、β-カロテンです。
β-カロテンは、体内でビタミンAに変換される栄養素です。
ビタミンAの仲間だと思っていただいて大丈夫です。
サプリメントだと、「ビタミンA」「マルチカロチン」「マルチビタミン」という商品名で販売されています。
ビタミンAは、目や皮膚の健康を守るビタミンです。
美容に関心が高い方なんかは、β-カロテン使っていらっしゃるかもしれません。
そんなβ-カロテンですが、喫煙者の方は絶対にサプリメントを飲まないでください。
1994年にフィンランドで、50〜69歳の男性喫煙者2万9,133人を対象とした、大規模な研究です。(2)
5〜8年間、毎日β-カロテンのサプリメントを20mg摂取していた喫煙者の人たちは、肺がんのリスクが18%も高かったのです。
喫煙されていない方では、特にリスク上昇は確認されませんでした。
では、β-カロテン20mgを食品から摂ろうと思ったら、どんな食品を、どれくらい食べれば良いでしょう?
食品に含まれるβ-カロテンは、このようになっています。(1)
ニンジンは、大きいものだと1本200gになります。
よって、ニンジン1本でβ-カロテン20mgです。
サプリメントは、平均して1粒10mgほどのβ-カロテンを含みます。
メーカーさんによっては、一発アウトのものも。
ニンジンやほうれん草を毎日食べていて、サプリメントも服用していたら、あっという間に20mgをオーバーするので、注意が必要です。
ここで、喫煙者は、β-カロテンを含む食品を食べない方が良いのか問題が浮上します。
結論からいうと、食品からのβ-カロテンは積極的に摂取してください。
別の研究では、ニンジンを全く食べない喫煙者と、週1回以上、ニンジンを食べる喫煙者を比較しました。
すると、全く食べない人は、週一回以上ニンジンを食べる人よりも、約3倍も肺がんになりやすかったのです。(3)
喫煙者の方は、食品からのβ-カロテンであれば、肺がんのリスクは心配ありません。
喫煙されてない方は、食品とサプリメント問わず服用していただいて構いません。
No.2 ビタミンB6
飲んではいけないサプリメント2つ目は、ビタミンB6です。
神経伝達や免疫に関係する栄養素。
要するに、ビタミンB6が足りないと、うつになったり、風邪を引きやすくなるということ。
サプリメントだと、「ビタミンB6」、「マルチビタミン」として販売されてます。
さて、このビタミンB6。
喫煙者の方だけでなく、タバコを吸ってない方も注意が必要です。
米国臨床腫瘍学会が2017年に発表した研究です。
ビタミンB6のサプリを毎日20mg飲み続けると、肺がんのリスクが80%も増加したのです。(4)
ここでポイントなのが、この結果は喫煙者、非喫煙者問わずであるということ。
そして、喫煙者の場合は、さらにリスクが高いこともわかっています。
喫煙者の方では、ビタミンB6を毎日20mg飲み続けると、肺がんのリスクがなんと約3倍になりました。
マルチビタミン系のサプリメントであれば、20mgも入っていないので、恐らく問題ありません。
ビタミンB6単独のサプリメントだと、一発アウトな量が入っています。
ここで気になるのは、食品からのビタミンB6も注意すべきかどうか。
結論からいうと、全くそんなことはありません。
というのも、食品にはそこまで多くのビタミンB6は入っていないためです。(1)
ビタミンB6を20mg摂る前に、お腹いっぱいになると思います。
また、そもそもサプリで補充がいるのか問題も。
ビタミンB6の推奨量は、男性で1.4mg、女性で1.1mgだからです。(5)
赤身の魚や鷄肉に多く含まれているので、どちらかを毎日食べている人には、必要ありません。
玄米、全粒穀物を食べている方は、なおさら必要ありません。
ビタミンB6に関しては、サプリメントは不要だと思われます。
ただし、お医者さんが処方してくれる薬のなかに「ピリドキサール」「ピリドキシン」「ビブロキシン配合錠」というビタミンB6を含む薬があります。
これは、治療上必要で処方される薬です。
口内炎やアトピー性皮膚炎でも処方されます。効果が出ている場合は、医師の指示に従って継続してください。
ただし、効果がいまいち感じられない、という方は、医師に相談してみましょう。
くれぐれも、処方薬に関しては、自己判断でやめないようにして下さい。
No.3 ビタミンB12
飲んではいけないサプリメント3つ目は、ビタミンB12です。
ビタミンB12は、神経伝達や赤血球の合成に必要な栄養素。
要するに、足りなくなると手足が痺れたり、貧血になるということです。
サプリメントだと、「ビタミンB12」、「マルチビタミン」として販売されています。
ビタミンB12も喫煙者だけでなく、非喫煙者も注意しなくてはならないサプリメント。
ビタミンB6と同じ米国臨床腫瘍学会が2017年に発表した研究です。
ビタミンB12を毎日55μg摂り続けることで、肺がんのリスクが約2倍になりました。
こちらは、非喫煙者のデータ。
喫煙者では、さらに結果が悪く、およそ4倍でした。
こちらもマルチビタミンならば、かなり微量のため大丈夫です。
単独だと一発アウトになるメーカーさん多いです。
そして、気になる食品含有量はこちら。(1)
魚介類に多く、特に貝類はずば抜けてます。
反対に、植物性食品には、ほとんど含まれていません。
毎日しじみやあさりなどの貝類を大量に食べる人を除いて、食品からの過剰摂取は心配しなくて大丈夫です。
こちらも、そもそもサプリメントいるのか問題があります。
推奨摂取量は、男女ともに2.4μg。
ビタミンB12は、魚介類をしっかり食べていれば、まず不足することはありません。
ビタミンB12に関しても、サプリメントは不要だと思われます。
ただし、ビーガンの方は植物性食品柄は摂取できないので、サプリメントが必須です。
適量のサプリメントを服用するようにしてください。
また、こちらもお医者さんから処方される薬として「メコバラミン」「メチコバール」という、ビタミンB12を含むお薬があります。
末梢神経障害で使われる薬です。
効果がある場合は、続けましょう。
ただし、効果がない場合は、医師に相談してみてください。こちらも自己判断で中止はしないように。
以上、3つの飲んではいけないサプリメントでした。
いかがだったでしょうか?
もし、β-カロテン、ビタミンB6、ビタミンB12が含まれているサプリメントを飲んでいる喫煙者の方がいれば、直ちに中止を検討していただけると幸いです。
一応補足になりますが、サプリメントの研究って、実は結果に一貫性がありません。
研究によっては身体にとってプラスという結果がでているのに、ある研究では害だという結果が出ていることも少なくありません。
なので、今回紹介した内容も絶対ということではありません。
ただし、一応そういう研究結果もあるということは、ぜひ覚えておいて頂きたいと思いましたので共有させてもらいました。
役に立てていれば、嬉しいです。
今回オススメする記事がこちら。
ビタミン系のサプリメントは、実は効果がなかったり、むしろ有害であるケースがあります。その代表がビタミンCのサプリメントになりますので、あわせてこちらの記事も読んでみてください。
それでは、また次回もよろしくお願いします!
参考文献
(1)食品成分データベース 文部科学省
https://fooddb.mext.go.jp/ranking/ranking.html
(2) Alpha-Tocopherol, Beta Carotene Cancer Prevention Study Group. The effect of vitamin E and beta carotene on the incidence of lung cancer and other cancers in male smokers. N Engl J Med. 1994 Apr 14;330(15):1029-35. doi: 10.1056/NEJM199404143301501. PMID: 8127329.
(3) Pisani P, Berrino F, Macaluso M, Pastorino U, Crosignani P, Baldasseroni A. Carrots, green vegetables and lung cancer: a case-control study. Int J Epidemiol. 1986 Dec;15(4):463-8. doi: 10.1093/ije/15.4.463. PMID: 3818153.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/3818153/
(4) Brasky TM, White E, Chen CL. Long-Term, Supplemental, One-Carbon Metabolism-Related Vitamin B Use in Relation to Lung Cancer Risk in the Vitamins and Lifestyle (VITAL) Cohort. J Clin Oncol. 2017 Oct 20;35(30):3440-3448. doi: 10.1200/JCO.2017.72.7735. Epub 2017 Aug 22. PMID: 28829668; PMCID: PMC5648175.
ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5648175/
(5)日本人の食事摂取基準 2020年版
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/syokuji_kijyun.html