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階層別研修の作り方①~階層は、どうやって分けたらいいの?前編~

【この記事は以下の読者様を想定して書いています】
・人事担当者様
└なかでも、教育や育成の担当者様


【この記事を読むことで得られること】
シリーズを完読すると、社内で階層別研修を作るポイントを掴め、人事担当者として有意義な階層別研修を組み立てることができるようになります!


【登場人物】
ホッソン(細野 和彦)

研修作家、人事コンサルタント。㈱ハブプロダクト代表取締役。年間250日以上の研修プログラムを設計から実施まで行う。 自ら講師としても登壇する一方、近年はHOMEROOM、ROGCHECK、RE:CAREERなどの育成プロダクトを世に送り出す開発者でもある。㈱ログシー 育成支援事業部 統括。好きな食べ物は鶏料理。

さくら(鈴木さくら)
キャリアコンサルタント、研修講師。航空会社→ホスピタリティ系専門学校→独立。キャリアコンサルタントは天職で、主に企業や大学でキャリアコンサルティングを行う。育成にも力を入れ、キャリアコンサルタント養成講座の講師も務める。ホッソン主宰の研修講師育成塾の第一期生で、師弟関係でもある。好きな食べ物はエビフライ。


◆「人称」の考え方をベースに階層を分けていくとスムーズにいく

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さくら:細野さん、キャリコン養成講座の受講生さんの中に、人事担当者の方が多くいるんですけれど、社内教育・研修に携わっている方がいまして、階層別研修を見直さなければいけないらしいんです。でも、これまで前年度を踏襲してきた中で、どこから手を付ければいいのやら、途方に暮れているみたいで。そもそも階層をどうやって分けたらいいのか、考えてみたらよくわからなくなっちゃったらしいので、細野さんに聞いてみたいです!


ホッソン:オッケー、今日はその話をしましょう!階層別研修で聞くと、何階層とか役職がどうこうとか、そっちに着目しちゃうんですよね。そうすると会社によって部長は中級管理職?それとも上級管理職?とか、次長は?課長は?係長は?とか、じゃあリーダーは?主任は?って、わけわからんってなるんだよ。この発想に陥ると、分け方が複雑になって、もはやガラパゴス。最終的にその会社独自の考え方で振り分けたらいいんだけど、前提となる考え方が実はひとつあるの。それが、「人称」を念頭に置くと良いということ。


◆一人称から五人称まで、さて誰が当てはまるでしょう?


ホッソン:「何人称」ってあるでしょう? これをベースに階層別研修を組み立てることを知らない人が多いんだよね。まずは、「一人称」。ではさくらさん、ビジネスにおいて一人称で仕事をしてもらわないといけない層、つまり、一人称を意識させないといけない層って誰が入ると思います?


さくら:「私は、私が」っていう一人称ですよね。新入社員とか若年層?


ホッソン:そうそう!「私はこれをできるようになりたい」「私がこれをやります」とか、自分のことで精いっぱいの範囲の人が、一人称。つまり、新人とか新入社員だよね。業界にもよるけどパート・アルバイトさんもここに含まれる。まず一人称が一番下の層。

次に、「私とあなた」という「二人称」。「あなた」は、上司や先輩、部下ではなく、ビジネスではやっぱり「私とお客様」の関係がありますよね。この「私とお客様」を見ないといけない層は誰でしょうか?クイズが続いてます笑。


さくら:はい(挙手)!若年層ですかね、2年目以降あたり?


ホッソン:年次で言ったらそんなそういう分け方もオッケーだよね。もっとわかりやすく定義しちゃうと、「部下がいない層」を指します。 部下はいなくても後輩はいるって場合は、会社によって考え方が変わるんだけど、部下がいない人っていうのはやっぱりお客様に対して接点を持っている人なので、ここの二人称にあたる。一人称が新人、二人称は部下がいない人。さて次の「三人称」は、自分とお客様と誰でしょうね?


さくら:部下でどうでしょう!(どやっ)


ホッソン:正解。だからここが三階層目で、いわゆる課長とかGMとかの管理職が三人称にあたる。ここの階層は従業員育成を考えなくてはいけないから、部下指導が必要になってくるし、組織づくりやチームビルディングも重要テーマになってくる。

そして、さらに三人称までをカバーする人が、その上にいるんですね。それが「四人称」になるんだけど、「自分、お客様、部下」そして、もう一つ何でしょう?


さくら:はい、わかりません笑。


ホッソン:答えは、「会社」。組織全体を考えないといけないよね。例えば、利益がどうとか、生産性をどうするとか、新商品を作らないといけないとかね。そういうのを考える人たちがこの四階層目で出てくるわけで、部長や本部長がこのあたりに入ってくる。

そして、最後が五階層目。「五人称」になるんだけど、「自分、お客様、部下、会社」と続いて、最後は何が入るでしょう?


さくら:ここまでは社内の話だったから、次は社外ですよね。となると、業界とか地域?


ホッソン:そうそう!地域とか業界自体を良くしていくっていう視点ね。地域貢献や社会貢献の視点。SDGsの観点が大事になってくるのは、自社さえ良ければいいわけじゃないから、全体で良くなっていきましょうっていう視点が必要だよね。ここにあたるのは、役員や社長。これが五階層目の五人称。これらをベースに階層を分けていくことを考えていくとよろしいですよ。


さくら:なんだかすっきりしましたね!

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◆「うちは大企業だから十何階層あるんです」みたいなのは、うまくいきません


ホッソン:もう一つ伝えておきたいことがあるんだけど、いい?さくらさんにご相談されている受講生さんの会社って従業員数どのくらい?


さくら:800名前後みたいです。


ホッソン:うん、中堅だね。僕の師匠にね、プロ経営者の方がひとりいらっしゃるんですよ。日本でプロ経営者っていうと、30~40名しかいないらしいんだけどね。いろんな会社の再建に携わる人で、3年毎ぐらいにいろんな会社に呼ばれて、社長就任するような方がいらっしゃるんですわ。


さくら:かつてのJALを再建した稲盛さんのような?


ホッソン:そうそう、僕の師匠は外国人なんですけどね笑。その師匠が今まで見てきた会社の規模でいくと、100名ぐらいもあれば3000~4000名ぐらいの会社もあって、外資も国内の会社もあるようなんですが、これまで7社ぐらいの再建に携わったようなんです。たぶん聞けばすぐ知っているような会社も含まれてる。その師匠が言ってたのは、どんなに大きい会社でも小さい会社でも、階層は五階層プラスマイナス2なんだって。

つまり、七階層から三階層までに留めておかないと、風通しが悪くなりすぎて経営がうまくいかない、と。細かく分けて決めすぎると、階層の壁によって組織が運営できなくなる。それが100名規模であろうと3000名規模であろうと変わらないとおっしゃっていたんですよ。僕がさっき話した「人称」の分け方をベースに捉えていくと、師匠の話とあながち外れてない笑。「うちは大企業だから十何階層あるんです」みたいなのは全く違うんだなあと思ったので、併せてお伝えしました。


さくら:新たな発見です。むしろ階層を細かく区切れば区切るほど、より明確になっていいのかなっていうイメージがあったんですけど、細かく区切ればいいってもんじゃないんですね。


ホッソン:そうだね。だって役割を持たせるって、実際そんなにある笑?って話で、お客様の数が変わったり、部下を見る数が変わったりするから、おそらくそのリーダー層の中で2つに割れたり、管理職を3つに分けたり、経営層でも幹部なのか経営者なのか経営陣なのかで違ったりするので、そういう分け方はもちろんあると思う。でも、あんまりそこを細かくしすぎると、組織として統制が取れなくなるんだよね、っておっしゃってたよ。それを聞いて、僕のやっていることは間違ってなかったなと思ったよ。


さくら:その5つの階層によって、担う役割が変わってきますし、担う役割によって視点が変わってきそうですよね?


ホッソン:そうだね。いわゆるそれが最近よくビジネスで言われている「視座」だと思うんですよ。そのあたりの話を次回詳しくしましょうか。


さくら:ぜひ聞きたいです。次回もよろしくお願いします!

(おしまい)


\『階層別研修の作り方』シリーズ/

1)階層は、どうやって分けたらいいの?前編 ←イマココ
2)階層は、どうやって分けたらいいの?後編
3)階層別研修って、どんな種類があるの?前編
4)階層別研修って、どんな種類があるの?後編
5)階層別研修と他の研修って何が違うの?前編
6)階層別研修と他の研修って何が違うの?後編
7)階層別研修にはどんなプログラムがあるの?前編
8)階層別研修にはどんなプログラムがあるの?後編
9)階層別研修ってどうやって設計するの?前編
10)階層別研修ってどうやって設計するの?後編

このシリーズを完読すると、社内で階層別研修を作るポイントを掴め、人事担当者として有意義な階層別研修を組み立てることができるようになります!


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