階層別研修の作り方~階層別研修は、どうやって設計するの?《最終回》~
【この記事は以下の読者様を想定して書いています】
・人事担当者様
└なかでも、教育や育成の担当者様
【この記事を読むことで得られること】
シリーズを完読すると、社内で階層別研修を作るポイントを掴め、人事担当者として有意義な階層別研修を組み立てることができるようになります!
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◆「階層別研修=インバスケット」とは限らない
さくら:今回はついに最終回になってしまいました…!階層別研修はどうやって設計するの?について教えてください。随分前に講師育成塾のときに衝撃的だったのが、縦軸が各階層で、横軸が1年間の時間軸で表している研修設計図(階層別研修マップ)でした。例えば2022年度だったらその1年間でこの研修はこの時期にやるとか、こういう設計図を初めて見て、すごい衝撃を受けた記憶があります。
ホッソン:あ、そうなの?そうですか笑。
さくら:あれが企業研修の全体設計ですよね。その作り方を含め、今回教えてほしいです。
ホッソン:うん。実は 階層別研修の作り方って唯一の正解はなくて、答えは企業様によって異なるんだよね。昭和時代から人事をやっている方に階層別研修を聞くと、「昇給や昇格の時にやる研修のことですよね?」っていう意見を言われる方が非常に多いんですよ。例えばインバスケット※だよね。でも今の時代は違うから、その企業様によって変わる。まずそこを 頭に入れた上で、各企業様にあった階層別研修の設計をしないといけないよね。
さくら:今は各社に合わせて、然るべきタイミングで、階層別研修を実施する企業様が多いんですか?
ホッソン:そうだね、その方が多いね。
◆the職人!のような「階層別研修マップ」を使った研修設計方法
▼こちらが感動してしまった「階層別研修マップ(全体設計図)」です
ホッソン:これで説明すると、一般職があって、リーダー層と管理職と上級管理職があるよね。本来はこの上に経営層が入った5階層が一般的だっていう話を以前したよね。一般職のなかにも1年目や3年目や5年目だったりと、年次がここに入ってくるわけですよ。
例えば今担当させてもらっているクライアント企業様だったら、 1年目~3年目社員と分けて研修を実施するという会社もあれば、1年目社員をやったら、次は5年目社員を実施するという会社もあったりする。リーダー層対象にいきなり研修をする会社もあるから、研修設計の唯一の正解があるかって言われたら、「ない」というのが実際のところ。
研修の中にはマインドセット、スキルセット、メンタルヘルスというテーマが階層別研修には入っていて、この5階層をベースにしてプログラムを作っていくことは話したよね。研修は1回だけの研修だと、学ぶ量も多いし、受講者様の仕事も多いから消化しきれへんってことで、事前課題に取組んでもらって当日研修して、事後課題に取組んでもらい、1か月後くらいに面談やワークショップを実施して確認することを通して定着を図って研修効果を出しています。このスタイルが一番研修効果が出やすいと思う。
階層別研修をしたことがないという企業様には、0から作る必要があるので、どんな問題が社内になるのかを把握するために、アンケートを作成して従業員様に答えてもらうの。それを集計して平均を取っていくと、「じゃあ御社の一般職はここが弱いですね」とか、「御社のリーダー職はここが強いけど、こっちが低いですね」とか浮き彫りになって、研修プログラムのキーワードが出てくる。そのうえで、そのアンケートをとった対象人数と平均年齢と入社年次でデータを色々もらって、組み込んでいく。すると、この層は何人対象でグループAにして、研修は〇〇と●●をしましょうねとか、ここまでの中で伝えたものを元にここからコンサルティングに入って会社全体の研修設計をするわけです。その結果、階層別研修のマップができあがり、それぞれの研修プログラムができてくるわけですよ、はい。
さくら:なにこれ、めっちゃ設計ですね!the職人!!
ホッソン:そう。だから階層別研修って別に難しくないのよ。考え方としては、今回伝えたことがやっていけば難なく作れるよ。ただ、0から作れって言われると、設計する人がいるわけよね。
さくら:いやいや、この設計は「別に難しくないのよ」レベルじゃないですから笑。0から作るから、クライアント企業からすると、すごく説得力がありますよね。
ホッソン:そうだね。企業の課題も聞いたうえで、もちろん作っていくけれど、例えばハラスメントが懸念されるからそれを入れてほしいとか、部下が能動的じゃないんだよねみたいなことを聞いたうえで、じゃあ一度調べてみましょうってなるよね。企業からすると、「先生が言うんだったらそうでしょうねえ。実は私もそう感じてました」みたいにはなるよね。
さくら:細野さんはプロデューサーでもあり、すごい設計者ですよね。秀でた特技ですね!
ホッソン:そう笑?(まんざらでもない)
さくら:最後にものすごいハードルが高いものをサンプルとして見せてくれたからか、いやぁこれ自分でできないわぁって思っちゃったんですけど、でもここまでのレベルのものじゃないのであれば、企業から「うち、こういう課題感がちょっとあるんですよね」とか、「新任管理職に何しましょうかね」っていう程度だったら、今までのこのコラムを最初から読んでいただければ作れる人がいるんではないでしょうか。
ホッソン:うんうん、大丈夫、作れる作れる。
さくら:企業からのニーズとして多いのは、このサンプルのように0から階層別研修を作るケースなのか、それとも単発研修から依頼されるケースでしょうか?
ホッソン:0からはほとんどなくて、単発ニーズっていうのかな、ちょっと育成してほしいみたいな依頼から始まることの方が多いよね。もしくはすでに社内で教育体系があって、ここのプログラムだけ変えたいとか、ここを強化したいっていう会社とか、はたまたこの全体設計の中で提案してほしいっていうのが依頼の9割くらいかな。こんな感じで階層別研修を0から作りたいっていうのは、まあ2~3年に一度あるかなぐらいだよ。
さくら:あ、そのくらいの頻度なんですね、びっくりしちゃった笑。
ホッソン:そういう風に作るのが令和時代の正しい階層別研修の作り方なんじゃないかなと思うよ。
◆「どんな役割と武器が必要?」という問いが研修プログラムになる
さくら:設計者兼研修作家である細野さんから、人事の皆さまに伝えたいことはありますか?
ホッソン:うん、ふざけて言うと、なにかあったらお気軽に相談してくださいね(笑)!っていうのは冗談で、「この人の役割は何なのか、そして、この人に何を身につけさせてあげると、それが全うできるか?」っていうシンプルな問いこそが研修プログラムになると思うんだよ。だから、組織の中で役割を全うするためにどんな武器を与えてあげるかがプログラムだから、シンプルにそれを会社の中で繰り返して、体系立てていけば、階層別研修は作れると思うよ。実はそれだけなんだよね。ここまでいろんな話をしてきたけど、その繰り返しをやっていただけたら、あなたの会社のことが好きな人が育つんです。それは100人でも1000人でも、どれだけ増えようとも5階層がベースだから、それを分類して研修プログラムを作っていくといいよね。
さくら:ぜひ人事担当者向けの勉強会をなさればいいのに。「階層別研修の作り方を教えます!」っていう、内製化したい企業向けに。人事担当者はジョブローテーションだからしっかり体系立てて誰も教えてくれずに困っている人事担当者はたくさんいると思います。
ホッソン:そうね、そういうことを学ぶ場を必要と思ってくれる人がいるんだったら、僕でよかったらぜひお伝えします。人事担当者の皆さま、ご連絡ください笑。
さくら:最後に人事担当者や研修担当者の皆さまに熱烈メッセージをお願いします!
ホッソン:役割と期待値に応えるために、何が必要なのかっていうことを考えるのが研修の基本だと思います。階層別研修って、よい組織をつくるために実施するものだと思うけれど、よい組織の在り方って時代によって変わる。 近年とくに働き方や雇用形態や所属の仕方も変わってきているので、第一線でこれを考える人たちが最適解を出せる人だと思うのね。あなたの組織にとっての最適解っていうのは、それを考える当事者である人事担当者や研修担当者が答えを持ち合わせているはず。今回のコラムを読んで、こうだと思うっていうことをぜひ疑うことなく、自分の会社に必要なプログラムをぜひ作ってもらえたら、 それがきっと貴社の正解だと思うので、楽しみながらやっていただけたらなと思います。
さくら:ありがとうございました!
(完)
このシリーズを完読すると、社内で階層別研修を作るポイントを掴め、人事担当者として有意義な階層別研修を組み立てることができるようになります!
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