#12 国内&海外MBA、タイ留学、受験記(2/2)
皆さん、こんにちは。
この記事は、”これからMBAを検討する方"に向けて少しでも参考になればと思って、実体験を元に書き留めました。
「MBAに行きたいけど、実際どうなの?」
「国内と海外MBAどっちがいいの?」
「そもそもMBAって価値あるの?」などなど
何かしらのTipsが得られれば幸いです!
よろしければ、入学準備~入学までを記載した#11もお読みくださいませ。
海外MBAに交換留学
早稲田ビジネススクール(以下、WBS)に入学して半年。
そろそろ来年の交換留学先を決める時がやってきました。
元々、海外MBAか国内MBAかで迷っていた僕は、資金面の関係で交換留学で海外MBAに行こうと考えていました。
海外MBAといえば、欧米の大学院がまず候補に挙がってきます。
やっぱアメリカかなぁ、と思っていたところ、
ふと「なんでアメリカなんだろう。卒業後、何を目指すのだろう」と一度立ち止まって考えることにしました。
前職では自動車業界に勤めていて、MBA修了後も同じ業界に進もうと考えていました。
自動車関連で役立ちそうなのはどこか。
その時、候補に挙がってきたのがタイでした。
自動車産業の東南アジア市場の中心に位置するタイ。
アメリカやドイツなどは先駆者がたくさんいる。
そんな中、僕だけの価値を発揮できそうだと考えました。
それに偶然にも、早稲田大学がこの大学院と今年から提携になり、
僕が(パスすれば)第一号になるという状況でした。
なんかいろいろ合致して、タイに交換留学を目指すことになりました。
研究科内の書類&面接に無事(?)パスし、僕はタイへ交換留学生として旅立ちました。
タイMBAへ
僕が留学したのは、
Sasin Graduate Institute of Business Administration of Chulalongkorn University(以下、サシン)という大学院です。
正式名称がめちゃめちゃ長いので、みんなサシンと呼んでいました。
タイの首都バンコクの中心地に位置するキャンパスは、アクセスが大変よく、その副作用で通学の渋滞と交通事故の危険性と隣り合わせでした(笑)
実際、ドイツから来ていた交換留学生の女性は、来タイ数日で交通事故に遭遇し、滞在中は松葉づえで生活していました。
母体であるチュラロンコン大学には2つのMBAが存在します。
①英語授業で国際志向のサシンMBA
②タイ語と英語のタイ国内志向のチュラロンコンMBA
どちらも同じキャンパスにありますが、学費や教授陣、タイ国王の肝いりということでサシンは一目置かれていました。
ただ認知度は限定的で、
タイ国内の大企業やビジネスマンにはサシンで通りますが、
一般の皆さんには全然知られていませんでした(笑)
(※チュラ大の大学院だよ。と伝えると理解してくれます)
僕が在籍したのは、同期60人のクラスで、
約9割が欧米豪で学位を取得した生徒ばかりでした。
タイ人というより、幼少から海外で過ごしている人たちばかりだったので、
作法や言葉は完全にウェスタナイズでした(笑)
学費はWBSよりも1.2倍ほど高く、通っている学生たちも非常にリッチな生徒が多かったです。
そのため、大企業の後継者や王族の生徒が多く在籍していました。
そんな中、正規生徒60人(タイ人58人、インド人1人、中国人1人)と交換留学生(フランス人2人、日本人1人)で授業が始まりました。
印象に残った授業、Business Strategy Class
印象に残った、というか一番最初の授業で、純ドメの僕にとってめちゃめちゃ大変だったからです(笑)
サシンは、米国ノースウエスタン大学ケロッグ経営大学院および米国ペンシルベニア大学ウォートン・スクールとの学術協定しているため、
多くの教授が招聘され授業を行っています。
この授業もフランス人教授が、アメリカから来タイして教鞭をとっていました。
この授業は、計21回の授業のうちA4サイズ5枚程度のIndividual paperを2回、A4サイズ1枚程度のSmall paperを5回、1Caseをグループで選びPresentation、グループで実際の企業にアポを取りNDA(守秘義務契約)を結んでConsulting paperとプレゼンを実施。
最後に3時間の筆記試験がある授業でした。
もちろん毎回の授業には、事前課題がありケースの読み込みが必要だったので、毎晩必死に読んでいました(笑)
この過程を2か月弱でやったので、今考えてもよくやったなぁと思います。
これを乗り越えられたのも、クラスメイトの支えがあったからこそだと思います。
同じグループだったメンバーには本当に感謝です。
ケースは、主にアメリカ&EU&日本と韓国企業の事例を扱うため、
僕は格好の餌食になりました(笑)
『今日はTOYOTAのケースだけど、そういえば日本人いたな』
と言うと、みんな僕の方を向くので
『おっSuzuki、TOYOYAのKanban systemとKaizenについて教えてくれ』
とコールドコールが多かったので、気が抜けませんでした。
Consulting paperはタイにある大手寝具メーカーとNDAを結び、
B2C市場の新規参入についてConsultingしました。
というのも、グループメンバーのFamily businessだったのがきっかけで、
結構みんなで本気でやりました(笑)
毎日、サシンの図書館や24時間営業のチュラ大御用達のCafeで、朝から晩までやったこと、グループメンバーのサポートのおかげで、この授業は最高成績を獲得できました。
この授業がきっかけで、グループメンバーをはじめクラスメイトと仲良くなれ、他の授業も楽しく過ごせました。
(※こちらは別の授業Operations Managementの授業風景)
(※「Too Fast To Sleep」チュラ大の学生が朝から晩まで勉強している24時間営業カフェ。家から近く、図書館が閉まった24時以降はここにいました)
サシンならではのイベント
サシンは王室と関係が深く、元々サシンは前国王のプミポン国王(ラーマ9世)が命名しました。
※サシンは「ウサギの王様」の意味。プミポン国王は兎年生まれ。
僕が在籍したときは、ちょうどプミポン国王が崩御され、国全体が1年間の喪に服している最中でした。
ですので、教授陣は基本的に黒or紺の服で過ごしていました。
生徒にもお達しがありましたが、厳密に注意されるほどではなかったです。
Sasin 35th Anniversary Party
たまたま35周年記念のAnniversary yearだったので、式典に参加させていただきました。
プミポン国王のご息女にあたるシリントーン殿下も参列され、普段はお目にかかれない貴重な体験でした。
公式Movieにもしれっと映っています(笑)
サシンジャパンセンター
サシンには実際に企業向けにコンサルティングを実施する機関として、サシンジャパンセンターがあります。
名前の通り、所長である藤岡先生は日本人なので、ご縁とお計らいで定期的な勉強会に参加させていただきました。
各自の興味あるテーマや実務に役立つテーマなど、さまざまな内容を議論しました。プレゼンもさせていただき、大変有意義に過ごさせていただきました。
こちらがきっかけで、藤岡先生とは今でも懇意にさせていただき、大変感謝しております。
帰国後
無事カリキュラムを終えて帰国した僕には、修論執筆という地獄が待っていました(笑)
その節は指導教授である平野先生をはじめ、ゼミ生の皆様には大変お世話になりました。
(※夜間プログラムはビジネスアイデアに近いペーパーがOKでしたが、昼間のプログラムは理論から入る論文が求められました。暗黙知でしたが。)
僕の修士論文テーマは自動車産業×タイに落ち着き、何とか口述試験もパスでき、MBAも修了することができました。
MBAに価値はあるか?
この議論は本当に尽きることはないと思います。
このような関連書籍は多くあり、書店でも賑わっていると思います。
僕の考えは、乱暴な言い方をしますが「それくらい自分で決めろ」です。
僕の場合、元々の目的が「知的好奇心を満たすこと」と「視座を上げること」だったので、それを達成できましたので価値はあったと思います。
もし、「給料をあげるため」だったら達成できる人は一握りだと思います。
「キャリアのステップアップ」だったら転職活動に優位に働くキャリアプランだったら達成できるかもしれません。社内の環境にもよると思います。
結局、人それぞれ目的によって異なります。
ただ何より、MBA過程を経ることで得られた仲間や貴重な体験は、僕にとって色あせることなく糧となっていると思います。
もし”これからMBAを検討する方"は、なぜMBAなのでしょうか?
海外、国内問わずMBAの面接では必ず聞かれますし、転職の際にも必ず聞かれます。
高額な授業料を払う理由は何か、一度整理されると新しい考えが見えてくるかもしれません。
そんな皆様に、この記事が少しでも参考になれば幸いです。
【追記】
”自動車業界で、なぜタイを選んだのですか?”
という質問を個別でいただいたので追記しておきます。
論文「A perspective on regional and global strategies of multinational enterprises(A.Rugman,2004)」の中で、グローバル企業の理想的な収益構造でtriad powerという考えがあります。
これは、グローバル企業は3つの地域(NAFTA, EU and Asia)からバランス良く収益を得られることが理想的であると論じられています。
自動車業界での各地域のコアはどこか(日本を除く)を考えたところ、アメリカ・ドイツ・タイが挙がりました。