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巣立ち

「いつの間に、いなくなったのだろう」

定かではありません。ついこの前まで、いたはずなのに…。
職員玄関の頭上に、その巣があるので中をうかがい知ることはできないのです。コシアカツバメです。

6月中旬、親鳥はせっせと何かを運んでいました。ヒナを迎え入れるために、巣の修復をしていたようです。

7月。時折、顔をのぞかせるヒナは、実にかわいい。大きな口を開けて、一生懸命エサを求めています。親鳥は、何往復もしているようです。

8月。見かけなくなったので、空になった巣を写真に収めようとしたのですが、巣穴からちらっと顔が見えました。       
「ひょっとして、ずっといてくれるのかな?」

そして、9月。足元に敷いてある新聞紙に、ふんが落ちてこなくなりました。とうとう、海を渡り南の国へ向かったようです。

「そうか、旅立ったんだ」
嬉しいような、でもちょっと寂しい気持ちです。

さて、子どもが巣立つこと、旅立つこと。どうしても卒業や進学・進級など、人生の節目に考えてしまいます。

いや、ちょっと待てよ。
子どもは、いつも間にか…知らない間に、巣立っているのかもしれませんね。私は、気付けているのかな。

そんなことを、厳しい暑さが残る、この秋に考えました。

【2023年10月5日 初出】

☆巣立ちに関する過去の記事です。よろしければ、ご覧になってください。


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