約束
「先生、練習進んでる?」
ドキッとすることばです。
「先生、なんで校長先生になろうと思ったの?」
と同じくらいドキッとします。
「まあ、ぼちぼちな。」と歯切れが悪い返事をしてしまいます。
よく覚えてくれているなあと感心すると同時に、「このままではまずい。」と、焦る気持ちを抱えていました。ここ数か月です。
というのも、4月の始業式で、私はこんな話をしたからです。
確かに言いました。
私は、息子が小さい頃よくした「ゆびきりげんまん」を思い出しました。どんな小さなことであっても、必ず「約束」を守る。子どもはそんな大人を信頼していくのだと思います。
私の楽譜には、赤ペンで「ド・ファ♯」などといったカタカナが書いてあります。「ここは一緒」など、自分にしか分からない書き込みもあります。
この楽譜は、見られると実に恥ずかしい。途中で間違って止まると、頭が真っ白になることも。指づかいは、たぶん…間違っているでしょう。
ただ、井上陽水さんの「少年時代」を通して伝えたい気持ちは、楽譜の赤ペンではなく、鍵盤に込められたかなと思っています。
【2023年3月7日 初出】