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プレゼント

「今日、昼から釣りに行く?」
 
突然、息子から言われました。
「連れて行って」ではなく、「連れて行こうか」という意味です。

「うん」と、私は即答しました。
 
息子が、小学生の頃からよく出かけました。
三重県の津や、福井県の敦賀です。船には乗ったことがなく、岸からちょいと投げる釣り方です。

クーラーボックスを、サバで満タンにしたこともあったかな。
秋が近づくと、夜釣りを楽しんだことを思い出します。
 
息子が東京へ行ってからは、めっきり、海から足が遠のきました。年に1回、妻と釣りに行くかどうかです。

私が住んでいる地域は、バス釣りをする所が多くあります。
面白そうだなあ、とは思っていましたが、やり方がよく分からずに、バス釣りを躊躇していました。
そんな、様子を知ってくれていたのでしょう。
 
車を30分程走らせ、目的地に連れて行ってもらいました。
手際よく準備する姿が頼もしい。
 
そして、第1投。
見事に、ヒットです。引きがかなり強く、大物かもしれません。
「しばらく泳がせて」「少しずつ、ゆっくりと巻いていって」
との声に耳をかたむけます。
 
そして、約40センチでしょうか、バスが目の前に横たわりました。私が釣った魚の中で、かなり大きい方です。

仕掛けを代えて、何度かキャストしているうちに、息子がつぶやきました。
 「僕もやろうかな…」

そういえば、息子は釣りをする気配がなかったのです。
「一緒にしよう」
 
どうやら息子は、私をバス釣りに連れてくるのが目的だったようです。ロッド(竿)が、いつもより少ないなあ、とは思っていましたが…。
「一緒にやろう!」
 
太陽は、西に沈みました。雨上りの、8月最後の日曜日。
息子からの、素敵なプレゼントでした。


☆初めて釣りに連れて行ってもらった、息子との思い出の記事です。よろしければ、ご覧になってください。


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