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冬の大三角

すーっと、ウキが沈んでいきます。ほわっと、水中に明かりが広がります。
「おっ、引いた」
 
この瞬間が、夜釣りの醍醐味です。
凍える指先で竿を握りしめ、ひたすら当たりを待っていたところです。
 
 
「夜釣りに行く?」
このひとこと。行きたいなあと思う絶妙のタイミングなのです。
ボクの考えていることを、察する能力でもあるのでしょうか…
 
今回も、連れて行ってもらいました。
先導するのは、もちろん息子です。アジが釣れた、突堤に向かいます。灯台の照らす灯りが頼りです。
 
以前は、私が大きな荷物を抱え、防波堤を先導していました。
今は、大きくなった背中をついて行きます。
そして、釣り方なんかを伝授してもらい、アジを待っていました。
 
ふと、空を見上げると、オリオン座が、南の空に輝いています。
無数の星の中、私は冬の大三角を見つけました。
 
「また、こうして夜釣りを楽しんでいますよ」
そんなことを考えます。
 
オリオン座が、西の空に傾きかけた頃、竿を収めました。
小さなセイゴは、そっと海に帰しました。
 
「また来ますね」
私は、冬の大三角に向かって、約束をしました。


☆息子が、初めて外を歩いたときの思い出です。よろしければ、ご覧になってください。


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