曲がり角
「こちらの道にきて、失敗したか」
なかなか、右折できないのです。
木曜日の夕方です。右からも左からも、ひっきりなしに車はやってきます。
私は、慎重派? なので、しばし待ちます。
とは言え、焦る気持ちもあります。助手席には、学校のお便り「校報」が置いてあります。
「できる限り、早く届けたいな」
すると、ぴたっと止まってくれる車が現れました。右手のほうです。
私の困っている顔が見えたのでしょうか。
左から来る車は、なかなか途切れません。
やがて、止まってくれた車のあとには、車が数台、いやもっと連なってきました。渋滞です。今にも、クラクションを鳴らされそうな状況になりました。
それなのに、ずっと待ってくれています。
とうとう、私が右折できる状況になりました。
止まっていただいた方。どなたか分かりません。近所の方かもしれないし、たまたま通りかかった人かもしれません。家路や目的地へ急いていることは、確かでしょう。
暗がりで見えないとは分かりつつ、私は深々とお辞儀をして通り過ぎました。
何かと気ぜわしい師走。
ひとことで言えば、右折で困っていて、止まってもらっただけの話なのですが…
このうれしい気持ちを、誰かに伝えたくなりました。
聴いていただいて、ありがとうございました。
「そっか。次の誰かに同じことをしよう!」
見返りを求めずに。
「こちらの道にきて、よかったな」
☆嬉しい気持ちがつながっていくといいですね。よろしければ、ご覧になってください。