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𝒦azu
2025年2月9日 17:59
おばあちゃん、勝手に出掛けちゃ駄目って言ったじゃない。危ないから、心配なんだよ? 瑠花は口を尖らせながら、おばあちゃんの顔を覗き込んだ。 澄恵は小さく微笑み、ごめんねと謝った。その横顔を見て、瑠花は少し切なくなった。 瑠花はおばあちゃん子だ。両親からは、中途半端な愛情しかもらえず、いつも澄恵の部屋に逃げ込んでいた。 だが、ここ数ヶ月、澄恵の様子
2025年2月4日 11:47
今日も太陽が眩しいね。ほら、星の砂がこんなに輝いてる。 「おい、お前、帰国子女だかなんだか知らねーけど、良い気になってんじゃねーぞ」 僕の後ろの席から声が聞こえた。言われてるのは、一週間前に転校してきたハノンだ。名前から珍しく、周りの奴らは男のクセにと笑っていた。見た目は、女子と変わらない身長、華奢で色白、サラサラな髪の毛、そしてちょっと気が弱そうな笑顔で、女子からは
2025年1月28日 19:28
ええ、こちらで合ってます。大丈夫ですよ、貴方様は何も間違っていません。遺書をご所望ですよね? なら私の所です。 そこのソファーにどうぞ寛いで下さい。時間はあります。ゆっくり話をお聞かせ下さい。それから作業に入りますので。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 左様でございますか。事情は分かりました。では早速作業に取り掛からせていただきます。一
2025年1月18日 20:04
私の最近の楽しみは、窓から覗き込むツバメだ。 このお店をオープンして三年になる。常連のお客さんも増え、立地も静かで店内から見える街並みや、大樹の下のベンチに腰掛ける人々を観察するのも面白い。 一週間程前から、そのツバメは姿を現す様になった。窓辺に止まり、少しの間店内を見渡している。その物珍しげに見つめる瞳が可愛くて、私の癒しになった。 今日もお昼過ぎに姿
2025年1月4日 17:49
「ねえ!私昨日の夜明け、ピンクの象を見たの!」 寝起き早々部屋に入って来るなり、彼女は息を切らして開口一番にそう早口に言った。僕はまだ半分夢の中。「夢?」「違う!本当に見たの!信じてくれないの?バカ」彼女の口癖だから、僕は気にしない。 「あ、オールドファッションチョコ掛けある!食べて良い?」聞いてる側から既に食べてる彼女を見て、少し目が覚めた。 熱いブラックを
2024年12月14日 19:16
真夜中人間と言う野蛮な生き物が寝静まった時間そこから僕の時間が始まる。 高いトタンの屋根に座り、一番星を見つける。あれはいつもの彼だ。澄んだ空気が辺りを潤しやがて夜空は漆黒に光る海になる。潤んだ波が辺りを震わせ、大儀そうに彼は尾鰭を一つ打ち鳴らす。 それが僕と彼の合図。『やあ、今夜も来たかい?』雄大な体は濡れていて、所々に星屑が煌めいている。『うん。