心疾患は車のエンジンに喩えると分かりやすい
こんな話を聞いた。
心疾患というのは、働きが弱っているのだけど機能しない訳ではないので、他の病気と特徴が異なる。弱ったなりに動かす、維持する、他の機能で補助する、など自分の心掛け次第でQoLをコントロールできる。だから、自暴自棄にならず、患者自身でしっかりマネジメントしようね。
まさにこの通りだと思う。機能が欠損したら、無いなりに諦めないといけないことが出てくる。けど、心疾患では、少なくとも私の今の状態では、制限は出てくるものの機能不全がある訳ではない。
この状態を正しく第三者に伝えるために、車のエンジンにたとえてみよう。
排気量2000ccの普通自動車がありました。これが健常な私の状態。スポーツカーではないけれど、巡航速度で走ったり、追い越し車線でグッとアクセル踏み込んだり、時にはたくさん荷物を積んだりして大いに活躍していた。
ある時、エンジン不調が起きた。青天の霹靂。
致死性不整脈は、エンジン不調。ガス欠でもないのに回転数が安定しない、ガタガタ振動する、スムーズにエンジンが回らない状態。いつエンコして急停止、火を吹いて大破するかわからない。これでは安心してドライブができず、常にエンジンのご機嫌を見ながら慎重な運転が必要。いつでも路肩に停めてJAFを呼ぶくらいの気持ちでソロソロと走る。
拡張型心筋症は、排気量が落ちた状態。2000ccでトータルデザインされた車なのに、いつの間にかエンジンだけ軽自動車並みの660ccに入れ替わっていた。走らないことはないけど、車格が合わなすぎる。元通りのパフォーマンスを出そうとするとエンジンが悲鳴を上げて壊れる。排気量が小さくなったなりに、急加速を避けるとか、荷物を減らす工夫が必要。痩せる=車格を落とす、みたいな努力も有効かもね。
投薬治療によって660ccエンジンの排気量がどこまで戻るかをみている状況だけど、すぐに回復する訳でも、確実に回復する訳でもない。エンジンに負担を掛けないようにしながら生きていく。減塩とか、節酒とか、力仕事を避けるとかがこれに当たる。
一方、しばらく乗っていない車のエンジンは不調になるので、ほどよく回して維持する必要がある。これが心臓リハビリ。ほどよく心拍数を上げる。私の場合、心拍数120くらいの有酸素運動を一日1時間くらいを目標に実施している。動き過ぎはNG。
今のスペックでやれることをやりつつ、無理せず、回復を待つ。これが今の私の全て。
幸い、アブレーションの効果が順調で不整脈科は卒業できそうな目処が立ってきた。エンジンは安定して回るようになったので、ふかしすぎないよう気をつけて生活する。また、仕事は生活の基盤なので、車を壊さないよう配慮しながら今できる最大限のパフォーマンスを出して、組織や社会に貢献する。きちんと居場所と収入源を作っておく。
思えば、これまで無謀な運転をしてたなぁ。クタクタに疲れても熱い風呂に入ってぐっすり寝れば復活するし、お酒を浴びるほど飲んでも、二日酔いさえ抜けてしまえばいずれ回復する。40歳を越えたら、そんな生き方は破綻するんだな。
いつかエンジンの載せ替え(心臓移植)が必要になるのかもしれないが、まずはどこまでこの車で頑張っていけるのか、愛車を大切にしながら長く付き合っていこう。
うん、わかりやすい。