【私の仕事】 忘備録(13)『ネット詐欺』狙われる中国人の主婦層
【私の仕事】 忘備録(12)中国人と日本語で会話する難しさ からのつづきです。
◆この記事の内容:
中国人が日本人に騙されていることに驚いたことを書いています。
ネット販売
中国整体の女性店長は、スマホで撮った書類が写っている画像を僕に見せた。まだ会って2回目なのにそんな大事な画像を僕に見せる行為も驚いたが、もっとびっくりしたのはその書類の内容だ。結論を先に言うと「違法」だ。うまくやれば、なんとかバレずにやれるかもしれないが、とても危険だ。
つまり、こういうことだ。「ネット販売で他人に自分の名義を貸す」。
当時は個人のネット販売が全盛期。数年は有名なメルカリなんかで、自分も儲けさせてもらったことがある。その後、メルカリなどはアカウントを複数もつことが困難になり、他人の名義を借りてやっている友達も多くいた。
この中国人の女性店長がしようとしていたのは、自身の「名義」を「ある人」に貸し、その貸し代金として、一か月に3万円をもらう。これは自分で考えたのではなく、「ある人」から話を持ち掛けかけられたのである。彼女自身はネット販売のことは興味ないし、日本語での複雑なやりとりはできない。
狙われる中国人の主婦層
理由はシンプルでちょっとしたお小遣い稼ぎをしたい。ここまで聞くだけでもうヤバイ。さて、店長がスマホで撮った書類の画像から、話を持ちかけてた相手を確認すると、日本人だ。よくあるパターンだ。
ネット販売で本当に儲けているのかどうか分からないが、主婦層を狙ってこの手の話を持ち掛けるパターンは当時、多かった。個人ネット販売が流行っていたからである。
日本人の主婦層から日本に在中する中国人の主婦層へとターゲットが変わったのか。僕はここで「中国人」と書いたが、日本人の男性と結婚して日本に長い間、住んでいる人たち。
さて、一般的に印鑑証明なんて使うのは、車や家など高額な買い物をするときだ。そんな簡単に入手して普通郵便で送る書類ではない。日本人であれば気がつくが。。だからこそ、外国人(中国人)の主婦層を狙うのか。
僕が「主婦層」という言葉を用いたのは、この手の話にひっかかっている知中国人の主婦が多いと感じたからである。
僕が日頃から関わっている中国人の「主婦層」というのは、
自分の仕事で「エステ、整体店の広告動画制作」があり、女性中国人のオーナーがすべて。皆40歳から55歳の間。
旦那さんはすべて日本人。結婚して日本に20年以上住んでいる。子供も大きく大学生や既に働いている場合もある。
日本に住む多くの中国人主婦たちから直接、話を聞いたことがある。自分の子供の学校のことや日本の制度やその他様々なことを知るために、日本人のお母さんたちにグループに交わろうとする。しかしながら、考え方、文化の違いがある。最も大きな壁は、日本語能力の問題から、おしゃべりはできても、深い意味を理解できないらしい。
日本人主婦のグループには心から落ち着いて仲良くするのは難しいようだ。どうしても同じ境遇の日本に住んで子供も日本の学校に通う同じ中国人の主婦層が集まってしまうらしい。
そうなると、この層は同じ言葉、同じ人種で親密度は高い。良いことも悪いことも、この層の中であっという間に広がる。
実際、ネット詐欺にかかっていたのは、上述の中国整体の女性店長だけではなかった。
この店長の友達、数人の専業主婦の人たちと、直接会って話したことがあるが、予想通り同じネット詐欺に騙されていた。
要求される重要な書類
店長は、「どうですか?これアブナイ?」って、僕に訊いた。危険に決まっているじゃないか。しかも、その名義を使ってアカウントを作るために、店長の住民票、印鑑証明と銀行口座、銀行通帳など様々な重要な書類を送付するよう要求されてようだ。まず、印鑑証明のような大切なものを自分の手から離れて郵送?考えられない。それに、銀行の通帳をつくるために、家族間ならわかるが他人に自分の銀行用印鑑を貸し、自分の名義を貸すのは、普通はしない。
それと、税金の面から言うと、その通帳に1000万円とか大金が入ったりすると、当然、名義人に所得税もかかる。店を経営しているなら年末調整のときなど、おかしくなる。
この手の名義を貸して欲しいと話を持ちかける人は、実際に儲けているかどうかは別として、税金対策のために儲けたお金を他人名義の銀行通帳へ少しずつ分散するのだ。自分の友達ではないが、実際、これと同じことをやっている人を知っている。その人からそのやり口も聞いたことがある。
自分の説明が通じない
とにかく完璧に危険なことなので、この店長がしようとすることをなんとか止めないといけない。僕は必至になって説明した。でも、そのダメな理由が通じないのである。理解してもらえないのである。こっちの説明不足なのか。焦って話そうとするのでダメなのか。イライラして自分自身にも腹が立ってきた。もちろん中国語はできないので出来る限りやさしい日本語で説明するのだが。。
店長には旦那さんがいるし、子供も既に大きい。「ちょっとまって、これ、旦那さんに話した?」と僕は返ってくる言葉は想像ついていたが訊いた。案の定、「いいえ。」だった。
店長は明日、書類をまとめて送り先に送ろうとしている。その会社名と住所を確認すると。。ああ、あれか!やっぱり。店長の気持ちは「やりたい」のである。もう決心しているのだ。「大丈夫だよ。」の言葉を言って欲しいだけ。
「とにかく、ちょっと待って。」普通なら僕は何も行動しない。自分には関係ない。薄情な性格だ。でも、なぜか、必死になって止めようとした。理由は自分でも分からない。でも、このことがなかったら、僕が中国人と深く関わっていくことはなかったのである。
【私の仕事】 忘備録(14)横須賀米軍担当営業マン へつづく。
*中国人店長のネット販売について、はやく結果を読みたい場合は、【私の仕事】 忘備録(16)東京の先輩 他人に名義を貸す を読んでください。
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