短編小説 『空のブルーと海のブルー』
「ねえ、海渡。鳥っていいよね」
俺たちは放課後、学校の屋上で寝そべって、夏の夕暮れの空をぼんやりと眺めていた。空美はその青空を自由に飛び回る1羽の鳶を見つけ、ため息混じりに呟いた。
*
俺たちは二人とも部活をやっていない。誰もが中学、高校では一度くらいはクラブ活動をするものではあるのだろうが、俺たちには全く無縁なことだった。
空美は学校帰りに女子から「遊びに行こうよ」と、よく誘われてはいたが、ほとんど行かなかった。
高校に入学したての頃、「なぜ女子と一緒に遊びに行か