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マミーチャンヌさんに聞く「かぞくのかたち」~絵本「かぞくです」企画対談⑤~

多様な家族がいることを伝えたい!

その想いをキッカケに仲間と共に絵本「かぞくです」を制作しています。

今月から「いろいろな家族を紹介していこう!」をテーマにトークライブを定期的に開催し始めました。

第五回目は、ふたりママ×ステップファミリーのマミーチャンヌさんに「かぞくのかたち」について全五回にわたり、お話を伺いました。

※前回はこちら。スイス在住で絵本「かぞくです」イラスト担当の「AKITOさん」の記事もぜひご覧ください。

【スピーカープロフィール】
マミーチャンヌさん
関西(L)GBTQ。通称チャンヌ。
英語の先生とフリーライター。同性パートナーのるいさん、子供2人(中1、小1)の4人家族🎉
アライの子供を増やしたいという思いで発信中。子供、保護者、教師向けの講演活動も🌈

【マミーチャンヌさんSNS】Twitter @mommy_channe

【インタビュアー プロフィール】
なるジェニ
女性同士のカップル なるみとジェニー。YouTubeチャンネル"Girls Right TV"を運営。パートナーシップ宣誓後、結婚式をLIVE配信。日本での 同性婚の実現に向けて少しでも発信したいふたり。多様性は子どもたちから始まると考え、絵本の作成を決意。

【なるジェニSNS】Twitter @narumi_jenny
Instagram @narumi_jenny

【インタビュアー プロフィール】

Aixx's代表🏳️‍🌈心地よさコンプリート🏳️‍🌈 ❶ボクサーパンツ販売中❷#LGBTQ+#Ally オフ会↔️ ありのままの自分がなりたい姿に/#Xジェンダー 無性/ 踊るDJ Ryyo/アパレル/服,音,海大好き/HSS型HSE /マイルドな大阪人/保育者/読書/合同会社ReCropプロダクション所属

【涼SNS】Twitter @aixxs_r2020


第一回 『にじいろしんぶん』について


まずは簡単に自己紹介をしていただけると嬉しいです。

 
同性のパートナーと、中学校一年生と小学校一年生の兄弟の四人家族です。アライの子どもを増やしたいという思いでわが子を育てています。こういう家族いるよ、というのを多くの人に知ってもらいたくて、我が家の日常を発信したり子ども向けの講演を行っています。
 
子ども向けに発信するようになったのはご自身のお子さんとの関係がきっかけだったのですか?
 
大人の発言や言動が子どもの人格形成に与える影響って大きいと思うんですけど、でも意外と子どもから大人への影響も大きいと思っていて。例えば、子どもの中ではやっているものや若者言葉が大人の中に入ってきたりいうことがありますよね。
 
凝り固まった大人に向かって発信しても浸透しにくいけれど、子どもは大人に比べて柔軟だと感じて、子どもたちに向けて発信していこう!と思ったのがきっかけです。
 
「かぞくです」著者3名で行われていたインスタライブを見た時に、「子どもから世の中の意識を変えていこう」という想いが、わたしの想いと重なっていて嬉しかったです。
 
 
チャンヌさんには『にじいろしんぶん』を絵本『かぞくです』のリターン品としてご提供いただいています。
 
『にじいろしんぶん』は去年小学校で低学年向けに講演したときに、三十分という持ち時間では伝えきれないなって思ったんですよ。そこで、もっと言いたいことや知ってほしいことを新聞につめこんで不定期で発行したらどうかと思って、最初は小学校一校のために始めたんですね。
 
でも一校だけで終わらすのはもったいないと思うようになって、小学校だけじゃなくどんな子どもさんにも見てもらえるように作り直した、というのがきっかけでした。
 
こだわっているところは、絶対難しい言葉を使わないこと。一発で聞いてわかるところまでかみ砕いて作っています。

例えば、同性婚訴訟については「おとこのひととおんなのひとはけっこんできるのに、おとこのひとどうしやおんなのひとどうしはけっこんできないのはおかしいと、くににかんがえてもらうようおねがいしている」というように。

厳密に言うとちょっと違うこともあるけど、それよりも子どもたちに「へえ、そうなんだ」って思ってもらうことを考えています。
 
『にじいろしんぶん』は公開していて、興味のある方に配布もしています。
 
『かぞくです』リターン一覧の中に『にじいろしんぶん』も入っています。支援いただいた方のみに配られる『かぞくです』特別号がついています。お届けするのは電子版ですが、印刷して貼ることもできるのでぜひご活用ください。

第二回 子育て×多様性の伝え方①次男ちゃん編


 
今回はチャンヌさんのご家族のお話を聞いていきたいと思います。ご家族の構成を教えてください。
 
私の二人の子ども(中一、小一)と同性パートナーのるいさんの愉快なステップファミリーです。
 
夜にときどきおやすみライブを開催してくれる次男ちゃん、本当に可愛いアライキッズなんですが、小さい頃から多様性を伝えてこられたんですか?
 
子どもの年齢に合わせて話はしていたんですけど、がっつり多様性について話をしていたわけではありません。
 
次男はずっと髪の毛の長い子だったんです。今は短くしているんですけど、一番長いときはポニーテールできるくらい長くて、本人も気に入ってたし、私も似合っているしいいよねって本人の好きなようにさせてたんですよね。

そんな中で友達から「男の子なのになんで髪長いん?」とか、あと先生も言うんですよ。「髪の毛暑くない?」とか。
 
そこで、まずは自分の中の「好き」を大事にしなさい、友達に言われても髪型は自由だし、その代わり他のお友達も「好き」はそれぞれ自由だから、という話をしたところから始まりました。年少さんくらいかな。
 
ベースは、好きなこと、好きなものを大事にしていいという感じで。

LGBTに関しては私がカミングアウトしたときに初めてきちんと教えました。
実はるいさんが私のパートナーだという話をして、それから周りの当事者に会うことによって変わっていったと思います。色んなセクシュアリティの方に可愛がってもらって、自然と色んな人がいることを体験していったと思います。
 
正直、周りの大人や環境で違ってくると思うんですが、うちは本当に恵まれていて、周りに批判的な人がいたらこうはなっていなかったと思います。
 

第三回 子育て×多様性の伝え方②長男ちゃん編


 
長男ちゃんの場合は次男ちゃんとはまた環境が違ったと思いますが、どのようにLGBTQ+についてお話しをしたのでしょうか?
 
LGBTQとか多様性の話以前に前提として、私は親子で話し合いができる土台作りを大事にしたかったんですね。それさえできれば、どんなことでも意見が言えて聞ける人になるかと思ったので。そのキッカケとして長男が年少の頃からニュースを一緒に見るようになりました。
 
当時、私は男性と結婚していたので普段LGBTQの話をしていなかったんですが、彼が8歳くらいの時に、女性カップルが結婚式を挙げたニュースが流れました。

実はずっと長男にカミングアウトしたくてタイミングを見計らっていたんです。そのニュースを観たときに「今だ」と思い、長男に「こういう人たちがいるの知ってる?」と聞いたら「知ってる、でも結婚できないんじゃない?」と言ったので「結婚はできないけど結婚式はできるんだよ、こうやって幸せにしてる人たちはたくさんいるんやで」と話をしました。
 
変なものとか異質なものと思っている感じはなかったので、「色んなセクシュアリティの人がいるんだよ。男の人と女の人ばかりではないし、性別以外にも国籍や年齢もどんな人でも好きになっていいんだよ」という話をしました。ちょうどそのニュースが流れてきてラッキーでした。そうじゃなかったら機会がなかったかもしれません。
 
その後しばらくセクシュアリティについての話は全くしなかったんですが、久しぶりにしたLGBTQに関する話題が「母が当事者」というカミングアウトでした。
 
そのとき驚いたのは、「そういえば台湾って同性婚できるようになったよな」と彼が自分でニュースをキャッチしていたことですね。色んなニュースがある中でも印象に残っていたのでしょうね。
 
後は次男と一緒で、るいさんが家にいて可愛がってくれたり、当事者の友達にも会ってもらったり、より自然になっていきました。「ママっていつから女の人好きと思ったん?」と聞いてきたり、こちらからも政治家の問題発言とかも会話に出しやすくなって、かなりナチュラルな話題に今はなった感じですね。
 
大阪の同性婚訴訟も長男を連れて行きました。判決のときに傍聴券が一枚しかなかったので、長男に一人で行って聞いてきてもらいました。また、レインボープライドに一緒に行くなどの機会を作って過ごしています。
 
思春期だから会話も昔ほどはないけれど、そういう場に行くのを今も嫌がらないし、理解はしているのかなと思います。
 
 
伝える時に気を付けているポイントはありますか?
 
大事な話をするときは何でもそうだけど、できるだけ簡潔に話すことと、私の主観をいれないこと、です。
 
「ママは嫌いなんだ」とは言わないようにしています。私が嫌いでも彼は好きでいいし、その逆でもいい。自分の思ったことをないがしろにして、お母さんや先生が言ってるからという風にはしたくないんです。
 
あと一度に全部伝えきろうとしないことですね。小出しにすると続きが聞きたくなるし、知りたいから聞ける、聞けばお母さんはいつでも教えてくれるという関係性を築くことが大事だと思います。
 
大人でも子どもでもそうだけど、考えたこともない話をぺらぺら話されても「えっ」ってなりますよね。伝えたいという気持ちだけで、それだけで突っ走っても子どもはついて来れないし、ついついもっと知って欲しいと思ってしまうけど、ぐっと我慢しています。親子関係に限らず人間ってそういうものだと思うのだけど、様子を見つつ押し付けすぎないように、というのは気を付けてきました。
 
また普段尊重することによって、本当にいけないことを「いけない」と伝えるときにより有効になるのではと思います

第四回 ステップファミリーになるときに決意したこと


 
まずはお二人の出会いからお聞きしたいです。
 
るいさんとは三年位前、掲示板で知り合い、メールからお付き合いが始まりました。子どもが二人がいることは最初から伝えていて、そのうえで仲良くなっていきました。少しづつ子どもたちとも交流を深めて、関わってもらうようになりました。
 
二人で会うこともあったけど、土日は子どもメインのお出かけをしてくれたり、子どもたちを大事にしてくれました。

子どもたちも「るいちゃん」「るいちゃん」と懐いてくれました。とても可愛がってくれたのが子どもたちにも伝わったのだと思います。
 
るいさんはもともと子どもは好きだと思うけれど、自分が産むことについては悩むところがあったみたいです。子どもはいたらいいなとは思っていたところに私と出会って、徐々に母になっていくという感じの流れでしたね。
 

家族として一緒にいたいと思うようになったのはいつごろですか?
 
るいさんは最初から家族になりたいと言ってくれていました。
私は子どもを大事にしてくれる人じゃないとパートナーとしてやっていくのは難しいと考えていました。でも一緒に過ごしていくなかでとても自然だったし、みんなが笑顔だったこともあり、これが全員にとって一番いいのかもしれないと思い始め、この家族でやっていきたいなという気持ちが芽生え始めました。
 
るいさんの家が遠かったので、通勤のことを考えると一緒に住むのは迷いました。でも、やってみるしかないよね、と決意して、去年の十二月から私たちの家に引っ越してくれて毎朝二時間かけて通勤してくれています。
本当に大変だと思うので、それだけで頭が上がりません。
 
二人で親になるにあたり、子育てや家事の方針についてるいさんと話し合ったことはありますか?
 
取り決めや話し合いはなかったんですけど、家事に関しては得意が被っていないので、分担に関しては自然でしたね。子どもたちに関しては今も試行錯誤中。
 
基本は私の教育方針をるいさんは尊重してくれています。チャンヌがこうしたいというスタンスがあるときは同じ方向を向いてくれます。生活習慣も違うし苦労させているとは思いますが、子どもたちを一生懸命理解しようとしてくれているので、とてもありがたいですね。
 
新たに決めるルールとか改善するところはアイデアをだしてくれます。長男は難しい時期に入ってきているし、今まで自分が気付かなかったところもるいさんが気付いてくれたり、本当に感謝しています。
 

第五回 ふたりママ×ステップファミリー×子どもを取り巻く社会との関わり方


 
親として学校とどのように関わっていますか?
 
そうですね、長男がいる中学校との関わりはあんまりないけれど、家庭環境に関しては学校にはお知らせはしています。
 
重要な行事、入学式や卒業式は全部るいさんに休みをとってもらって一緒に行っています。今後も授業参観や進路相談などの大事な行事は二人で参加したいと思っています。
 
次男の方は何回かるいさんと一緒に授業参観に行きました。
今後はできるだけ先生と直接お話する場にも一緒に行きたいと思うし、逆に私が行けないときはるいさんに行ってもらう機会は出てきそうですね。
 
特に産んでない方のお母さんは「誰?」という顔をされるのですが、それはしんどいと思うので、最初に言っておくようにしています。
保護者に向けても最初は仲のいい人にしか言っていなかったけれど、小学生になってからすぐ保護者懇談で「うちは女二人で子育てしているので、二人来ることもあると思うけど、両方ともお母さんです」と伝えています。
 
長男は中一なので自分の家族の話をあまりしゃべったりしないと思うけど、小さい次男に関しては、学校で「自分ちはママふたりだよ」と言うこともあるだろうと思うんです。そのときに私たちが隠していると矛盾が生じてきますよね。
 
だから、隠すことじゃないんだよ、と教えるためにも、私たちが「こういう家族なんですよ」って言うことが一番説得力があるのかなと思うし、子どもたちも自信を持って言えるんじゃないかと思います。環境にもよると思うけれど「あまり言わないで」というのは基本はナシです。
 
本人が堂々としているかどうかで周りからの味方も多少変わってくると思うんです。そのうえでもし何かトラブルがあったらママたちが全力で守るからねとは伝えています。
 
次男ちゃんの保育園ではどのようにしていましたか?
 
保育園には年長さんの最後のころに伝えました。伝えなくてもいいかなと思っていたけれど、次男が卒園式には二人で来て欲しいと言ったので、二人で行って、るいさんが「誰?」てなるのを避けたかったんです。コロナのご時世なので、それが誰であろうと園に言わなくてはいけない状況だったのもありました。
 
でも、その前から次男は「るいちゃん」の話を保育園中でしていたんですね。だから先生も友達もるいさんの名前は知っていて「なるほどね」「そっかそっか」という感じで、無事卒園式も二人で出ました。
 
「るいちゃん」が誰かというのは子どもたちはそんなに気にしていなくて、るいさんも子どもの受け入れ力の強さに安心させられていたと言っていました。
 
子どもに関わっていくときには、るいさんの存在を親として認識してもらえるようにすすめてきました。習い事も同じような感じです。
 
私たちにとっても知ってもらった方が楽だし、いろんな人たちがいるんだって周りにも気付いてほしかった。とくに子どもたちが気づくと変わっていくのかなと思っていて。絵本『かぞくです』を作った皆さんの思いと重なる部分もあるんですが、子どもたちから知ってもらいたいという目的もありました。
 
 
 
全五回、ふたりママとして、ステップファミリーとして子育てされているマミーチャンヌさんに色んな話を伺いました。
 
マミーチャンヌさん、素敵なお話をありがとうございました!



最後に

絵本「かぞくです」の出版に向けてクラウドファンディングがスタートしています!
クラウドファンディング期間は2022年7月1日〜2022年8月7日
です。
できる範囲でのご支援、拡散、周りの人にお話していただけますと嬉しいです。

クラファンページ(セカンドゴール達成しました!)🎉

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