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読書感想文「小隊」砂川 文次 (著)
交戦すらも、凡庸で間抜けな小狡さのある日常の延長なのだ。
組織には目的がある。だが、それと同時に理念と使命がある。組織は合目的的に業務を遂行しようとする。なので、トップの指令や指示を最短距離で達成しようする。当然、組織内に軋轢やトラブルは発生するのだが、そんなものは踏み潰して直線的に進むことが目標管理となる。まぁ、ブラックだったりパワハラと呼ばれる類いだ。
しかし、組織とは人間の集団なのだ。人間の集まりだからこそ、人間性が尊重され、人類共通の高邁な理想を具現化すべく理念を掲げていなくては、バカバカしくて人がいなくなる。東アジアでは、儒教文化というか年長者や立場が上の者を機能性以上に慕ってしまい敬ってしまうために、実は「組織戦」が得意ではない。組織とは、権限が委譲され機能が分担されなくてはならないのだが、上の者の「聞いてない」が発生し意思決定から合理性が消えてしまう。契約社会でなく何なら文書主義も徹底してないため、常に責任が曖昧になる。そうなると、軍を率いて兵力を有効に発揮させ続ける軍事力を保つことができない。兵站線をまともに維持できるマーチャンダイジングが極端に苦手なのだ。「堕情さ」すら含めて日々を営むのは人間だ。そうした人間性をもとにした組織構築のためには、休暇や休憩、娯楽、栄養、交替、さらに互いの称賛、感謝など人間の人間性を維持・確保することが必要なのだ。
人間を磨滅することでしか「戦い」をやってこれなかった日本が、なぜ「失われた30年」を過ごし、被災地支援もろくにできないのかの答えを、この小編から拾ってしまうのだ。