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シロハラの砂糖菓子


「鷺(さぎ)を押し葉にするんですか。標本ですか。」

「標本ぢやありません。みんなたべるぢやありませんか。」

「をかしいねえ。」

カムパネルラが首をかしげました。

「おかしいも不審もありませんや。そら。」

その男は立つて、網棚から包みをおろして、手ばやくくるくると解きました。

「さあ、ごらんなさい。いまとつて來たばかりです。」
宮沢賢治『銀河鉄道の夜』

天の川で鳥を捕らえてお菓子に加工する男。

子どものころに、アニメ映画の『銀河鉄道の夜』を観て、とても心に残ったシーンです。

鷺たちが次々と身を固くしてお菓子になってしまう様子は、子ども心に恐ろしくもユーモラスに感じられました。

賢治の書く物語には、いろいろな種類の鳥が登場します。

また、水晶や金剛石といった鉱物の名が多数登場することも特徴です。

宮沢賢治の描く物語世界を思い浮かべながら製作しました。

シロハラの剥製と、水晶を組み合わせています。

シロハラはツグミの仲間の渡り鳥で、日本では冬季の間だけ見ることができます。

小さな身体のわりに、クチバシと後肢が発達しています。

地上を跳ね回って獲物を探す様子がかわいらしい小鳥です。



お腹には、内臓の代わりに群晶(水晶が集まってかたまりになっているもの)を入れています。

死んだ鳥が、冷たく硬くなり、鉱物のような状態へと変異していく過程をイメージしました。



販売ページ。

【魔界ノ風鷹】

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