【読書感想】ストレス脳/アンデシュ・ハンセン
題名:ストレス脳
作者:アンデシュ・ハンセン
■気力の変化 ※読み終えて気分がどのくらい高揚したかの個人的指標(1~100)
読前気力「45」
読後気力「55」
■ひとこと感想
自分が生きていることは奇跡である。
先祖代々、自分が生まれるまで誰も死ななかったから。
この、死なない為の脳力が私にも引き継がれている。
だから、精神的に病んでしまうのは、死なないための正常な反応なのだ。
「死にたいと思うこと、それは間違いではない」
と思えるようになりました。
■誰かに勧めるなら
・ちょっと精神的に辛いなって思っている人
・うつに関する本を結構読んできたけど納得しなかった人
■3つのポイント
①死ななかった人たちの知恵を受け継ぎし者、それが自分
②死にたい気持ちは異常じゃない、正常だ
③うつ病の克服に必要なもの、それは人との関わり
①死ななかった人たちの知恵を受け継ぎし者、それが自分
【まえがき】で言われます。
世界で2憶8400万の人々が不安症を抱えている、と(WHOの試算)
【第一章】で言われます。
私たちは幸せでいるようにはできていないかもしれない、と。
なぜなら、人間は何十万年と長い間、狩猟で暮らしていた。
そこで大切なのは、ライオンに襲われないなど、常に不安や警戒をすることだった。
生き延びて子孫を残すため、その生活にフィットすることを「適者生存」という。
生存のためには、幸せを感じるよりも不安を感じる方が大事なのだ。
そんな先祖のサバイバル脳を私たちも受け継いでいるみたい。
そう考えると、自分が生まれるまで、誰一人死なずに種を残してくれたんだなって見ず知らずの先祖に感謝したくなります!
②死にたい気持ちは異常じゃない、正常だ
知覚から入ってくる情報は、脳の扁桃体が処理をしている。この扁桃体、反応は早いがやることが雑のようだ。
「とりあえずヤバそうだから」と、ちょっと危険そうであれば発作となって危険を知らせる。
例えば地下鉄に乗ると心臓が痛くなる、パニック発作みたいに。
これは、別におかしなことではない。
脳が、生き延びるために不安を感じて防御システムを作動させているだけだ。
「死にたい」と塞ぎ込むのも、脳が不安を感知して、今は体を休めた方が良いと知らせてくれているのだ。
それは脳が異常だからではなく、正常に作動している証拠である。
【第3章】で鬱になる原因のひとつが紹介される。それがストレスだ。
炎症を起こすと、それを抑えようと反応する(コルチゾールの分泌)
※炎症とは身体の反応であり、皮膚が赤くなる以外にも風邪を引く等色々な反応を含む。
しかし、あまり長く反応していると慣れてきてしまい、炎症をほったらかしにする。
炎症の度合いが高まると、それを脳が「危険にさらされている」と解釈する。
そして、脳は感情を使って、私たちを塞ぎ込むようにする。
塞ぎ込む、それが鬱状態につながってくる。
ストレスを受けた時に、脳が正しく反応したがゆえに、鬱状態になってしまうようだ。
※鬱の原因は不明な点が多いので、ストレスだけが原因ではない
不安やパニックは異常ではないよ、と著者は優しく語りかけてくれます。
③うつ病の克服に必要なもの、それは人との関わり
調査によると、所属する社交グループが多いほど、鬱になる可能性は下がるそうだ。
自分の肌感覚でも、孤独でいると鬱っぽくなるなあと思う。
鬱に限らず、心臓疾患をもっている患者に行った調査では、「孤独を感じていないか」、「話す相手がいないか」で、生き延びることができる人が変わるそうだ。
孤独がなぜリスクなのか。
これについても著者は狩猟採取の時代を例にしている。
それは、孤独でいると死のリスクが高まるからだ。
一人でいると、動物から身を守るのは自分だけなので、常に警戒していなければならない。
そして、現代の社会では、孤独でいると周りのみんなが「敵」に思えてしまう。
自分の命を狙っているかもしれないからだ。
だからこそ、社会に所属することや、人とかかわることで、こうした警戒心が薄れて鬱になるリスクも和らぐようだ。
■執筆後のひとこと
ぞっとしました…
だって、私には友人や所属グループがサザエさんの波平の頭頂部なみにないからだ。
もちろん、波平の髪の毛は一本ではない。
だが、私の友人は一人いるかいないかだ。
ぴょんっと引っこ抜かれたら、頭はつるっぱげだ。
…、やばい。
誰か、友達になってくれ。