フォクトレンダー愛が止まらない!レンズ選びと楽しみ方を徹底解説
これはコシナ・フォクトレンダーの楽しみ方について語る記事である。筆者は前職の某カメラメーカー在籍時、ショールームで自社マウントレンズよりもフォクトレンダーを勧めていた。フォクトレンダーが大好きな人物である(もちろん前提として、フォクトレンダーに興味がある人に対してである)。これは、ライカスクリューマウントやVMマウントの個人的な楽しみ方について述べたものである。(X-Mountはまた語る?かも)
フォクトレンダーって何?
Voigtländer(フォクトレンダー)は、1756年にドイツで創業した、世界で最も歴史ある光学機器メーカーの一つである。設立当初は科学機器の製造を手掛けていたが、19世紀にカメラやレンズの開発へと進出し、写真業界で重要な存在となった。クラシカルなデザインと高い光学性能を持つVoigtländer製品は、現在も多くの写真愛好家に支持されている。現在は日本のコシナ社がブランドを所有し、伝統を守りながらも新たなマニュアルフォーカスレンズを展開している。
銘柄で選ぶ
ライカレンズと同じように、ズミルックスやエルマーで揃える人がいるように、フォクトレンダーもノクトン、ウルトロン、カラースコパーといった銘柄で揃える方法がある。フォクトレンダーのレンズの多くはF値で銘柄が決まっている(例外はヘリアーやアポランター)。ざっくりとまとめると以下の通りだ。
筆者はHELIARが大好きである。classic 50mmF1.5以外(光学構成が同一で限定品、広角は除く)はすべて保有している。50mmのF2、F3.5、40mmF2.8、75mmF1.8、F2.5である。レンズ枚数が少ないレンズの良さがある。↓はいつか欲しい。
コーティングの違い
一部のレンズには、シングルコートとマルチコートの二種類のレンズコーティングが用意されている。あえてシングルコートのフォクトレンダーを揃えるというのも、乙な楽しみ方だと言えるだろう。ちなみに筆者はマルチコート派である。
焦点距離で選ぶ
もしあなたが50mmが好きなら、50mmを選ぶ楽しみ方もある。ちょっと何を言っているのかわからないと思われるかもしれないが、コシナフォクトレンダーは現行で販売されている50mmだけで六種類用意されている。HELIARやAPO-LANTHARなど、描写の考え方が対極にあるレンズを揃えたり、NOKTON F1の重量ある大口径とSKOPAR 50mm F2.2といった軽量コンパクトの両方を選んでみたりすることができる。よく使う焦点距離のレンズは何本持っていても良い。35mm派の人も喜んで欲しい。こちらも六種類用意されている(24年8月現在)。
ちなみに販売終了品を含めると増えるが、50mmは合計13種類ぐらいあるはずだ。最近、コシナ社の生産終了品一覧ページが復活したので、色々とチェックしてほしい。(私はHELIAR,SKOPARの3本を保有している)
重さで選ぶ
「軽さは正義」とも言われるが、重さを楽しむのもM型レンズの楽しみ方の一つではないかと個人的には思っている。フォクトレンダーはアルミ外装で軽量化を図ったものを用意する一方で、重厚感を楽しめるように真鍮外装のものも用意している。M型ライカのビルドクオリティに合わせたラインナップなのだと思う。真鍮でやや重めに揃えるのも良い。
一時期、筆者は「M型は重厚感が大切!」と思い、75mmF1.8VMや40mmF1.2VMといった400g、300g超のレンズを主に使っていた(鏡筒が大きいとフォーカス合わせがしやすい理由もある)。この2本を使うと、時たま広角レンズが欲しくなる。当時、中古で安く売っていたULTRON 21mm F1.8を購入した。こちらも400gオーバーである。300gを超える重量系レンズは、重量系で揃えるのもアリだと思う(ただし、3本持ち歩くのは重かった)。
レンズのカラーで選ぶ
フォクトレンダーの特徴の一つに、複数のカラーが用意されている点がある。単純にブラックやシルバーがあるだけではなく、ブラックにはさらにマットブラックも用意されており、50年代の名玉レンズを彷彿とさせるツートンカラーもある。つまり、レンズのカラーで揃える方法もある。シルバーならシルバー、マットブラックならマットブラックという具合に。もちろん、チグハグに揃えるのもいいが、統一するとかっこいい。
コシナ社の巧妙な点は、コーティングの違いでレンズのカラーが異なるものがあることだ。例えば、75mmF1.9VMの場合、マルチコートを選ぶとマットブラックになってしまう。ブラックペイントとは微妙に異なるため、気になって仕方がない。レンズカラーを揃えて旅に持って行きたいのは自分だけだろうか。ちなみに現時点で75mm以外でマットブラックが用意されているレンズは、以下の3本のみである(75mmF1.9VMが登場した際、他にマットブラックがなく、絶望した)。
・APO-LANTHAR 50mm F3.5(Type I)
・NOKTON Vintage Line 35mm F1.5 Aspherical(Type I)
・NOKTON Vintage Line 28mm F1.5 Aspherical(Type I)
50年代感のツートンカラーは、2024年7月に軒並み生産終了がアナウンスされ、一つの沼がなくなった(?)と思えば、レンズマウント部付近がシルバーのブラックタイプのSKOPAR 50mmF2.2が発売された。これは新たな沼の入口かもしれない(同タイプのツートンカラーを勝手にPタイプと呼んでいる。なぜならL39マウントのSCOPAR 35mmF3.5 P-typeが同様のスタイルだからである)。
筆者のフォクトレンダーたち
現在の構成
筆者の単焦点レンズの基本的な選び方は次の通りである。2本以上持ち歩くときは、このように決めている。よく使う焦点距離の2倍もしくは1/2に近い焦点距離を持っていく。特に28mmまたは40mm派であるため、次の構成が多い。
①28−50−90/シルバーカラー
・COLOR-SKOPAR 28mm F3.5 L
・HELIAR classic 50mm F2 VM or COLOR-SKOPAR 50mm F2.5 L
・APO-SKOPAR 90mm F2.8
②40−75/ブラックペイント/小型軽量
・HELIAR40mm F2.8 Aspherical
・COLOR-HELIAR 75mm F2.5 L
③15ー40−75/ブラックペイント/重量重め
・SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 Aspherical III
・NOKTON 40mm F1.2 Aspherical
・HELIAR classic 75mm F1.8 VM
④ 50年代ツートン
・HELIAR Vintage Line 50mm F3.5
40mmの1/2の焦点距離に近いのは21mmである。F1.8もF4も試してみたが、どうも合わない。12mm F5.6 IIIも試してみたが、これも合わなかった。超広角レンズはあまり得意ではない。ただGホロゴンはしっくりきていたので、近い焦点距離の15mmに落ち着いてしまった。(APS-Cクロップしたら約21mm相当になる)
気になるあの子たち
今欲しいVMレンズたちは以下の通りである。
・APO-LANTHAR 50mm F3.5(Type II)
・HELIAR classic 50mm F1.5
・COLOR-SKOPAR 28mm F2.8 Aspherical (Type II)
会社勤めのままなら、ぽんぽん買っていたのだが、さすがに今は厳しい。
またフォクトレンダーのレンズの発売ペースは驚異的である。光学系が同じでマウント違いの発売が多いとはいえ、各マウントに最適化し、さらに電子接点を用意することは簡単ではない。2024年のCP+で参考出品された製品はすべて市場に登場したので、これからの新製品が楽しみである。
ちょいと宣伝
フォクトレンダー展 vol.4 “Black&White”に参加する。9月17日から23日まで、東京の銀座松屋デパート8F催事場にて開催される。中古カメラ市の催事場で展示が行われる。私も出展する。(実は第一回目からすべて参加している)。今回はVMレンズではなく、X-mountのレンズで撮影した台湾の写真を展示する。残念ながら期間中、一時帰国する予定はないが、ぜひご来場いただきたい。