「マクベス」を見た(ネタバレあり)
まえおき
何度も映画化されている言わずと知れたシェイクスピアの4大悲劇の一つ。現在も「マクベスの悲劇」という題になっている。
スコットランドの将軍の一人であったマクベスは、出会った3人の魔女に予言を告げられ、王位簒奪を行うが、徐々に精神安定を失っていき悲劇に向かっていく。
シンプルな舞台を絵画のように魅せる
この映画は、全編モノクロかつ、スクリーンも両端が少し短い画角で撮影されている。加えて、セットも非常にシンプルな作りになっているため、人の表情や動きに集中しやすい。また、どのシーンも画角が固定されており、基本的には動くのは主に人物が中心になっているところが、どことなく小津安二郎の映像に類似性を感じた。
デンゼル・ワシントンの演技が秀逸
この話は、マクベスが内面から崩壊していく様が話の中心になっていくので、どうしてもマクベスをどう演じるのかは避けては通れないのだが、さすがはデンゼル・ワシントンが見事に強さと危うさが同居した主人公を演じていた。
彼の演技のうまさは、個人的には目の表情の豊かさにあると思っている。マクベスは戦場では無敵を誇る百戦錬磨の猛者でありながら、自分の主人であるダンカン王の殺害を実行する際に、直前まで迷うほどの精神的な弱さがある人物だ。
この、強い将軍の顔と、王の殺害という罪の呵責にあと一歩で精神崩壊を起こしかねない顔を目の表情で非常に上手く演じ分けている。
特に、弱い時の表情などは、親から逸れてしまい、一人取り残された子供のように本当に途方に暮れた感じの目の表情が良かったと思う。
他の俳優が演じているマクベスは見たことがないが、少なくともこの映画では、デンゼル・ワシントンの特徴が十分に発揮されていると感じた。
まとめ
映画全体としては楽しめたし、絵創り、演出、俳優さんたちの演技含めかなり完成度の高い映画だと感じた。
ただ、一点、原作を読んでいないので、不勉強なのと物語を十分に理解していないかもしれないのだが、そもそも何でマクベスは、ダンカンの殺害に踏み切ったのか、理解ができなかった。
映画では、マクベスは殺害の前に相当迷い、且つ精神的にもまだ殺害していないのにかなり限界に近い状態になっていたように感じた。
実行に移す前に、あのような状況であれば到底その後の生活はまともに続けられるわけはないと思うのだが、それすらも判断できないような精神状態だったのだろうか?
原作読んで勉強した方がいいのかもしれないと思ったので、早速Kindleで原作購入したみた。
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